養生のススメ(塩谷広域2市2町広報誌連載中) 
 塩谷郡市医師会では、一昨年下野新聞に「かかりつけ医のココロ」というコラムを掲載しました。その際、地域の方々から多くの励ましや共感をいただき、また「ぜひ続編を!」という要望も数多く医師会に寄せられました。
 そこで、当医師会では住民の方々の要望にお答えし、地域の方々の健康増進や疾患予防のために「塩谷郡市医師会リレーコラム 養生のススメ」という題のコラムを6月より月1回、塩谷郡市の2市2町の広報誌に連載を始めました。
第56回 塩谷地区の救急医療の現状   塩谷郡市医師会会長  山田 聰(矢板市)
第55回 おなかをこわしたとき 戸村医院院長 戸村光宏(塩谷町)
第54回 たかが「かぜ」と油断しないで    岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
第53回 家庭の血圧はいくつですか にいたに内科院長 二井谷誠司(高根沢町)
第52回 「認知症の話」 −早めにかかりつけ医に相談を− 中津川クリニック院長 中津川 昌利(高根沢町)
第51回 滲出性中耳炎について 中川耳鼻咽喉科医院 中川 渉(さくら市)
第50回 ダイエットと岩遊び 佐藤クリニック院長 佐藤 泉(さくら市)
第49回 職場でのメンタルヘルス対策 阿久津医院院長 阿久津博美(高根沢町)
第48回 もうひとつの診診連携 植木医院院長 植木雅人(塩谷町)
第47回 塩谷地区おとな・こども夜間診療室の開設 塩谷郡市医師会会長 山田 聰
第46回 空飛ぶ鮎 風見診療所院長 小島 崇(塩谷町)
第45回 ストレスと病気 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
第44回 期待の新登場 乳幼児のHib、肺炎球菌ワクチン かるべ皮フ科小児科医院院長 軽部敏昭(矢板市)
第43回 のみ込み難いと感じたら 越井クリニック院長 越井 健司(高根沢町)
第42回 最新の内視鏡手術:ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術) 日本が世界のリーダー 花塚クリニック院長 花塚和伸(さくら市)
第41回 聞こえはこころをつくる 村井医院院長 村井信之(矢板市)
第40回 在宅医療の話 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
第39回 視力と目「適正な矯正で快適な生活を」 かとう眼科院長 加藤 健(さくら市)
第38回 子宮頸がんワクチン 大草レディスクリニック院長 大草 尚(さくら市)
第37回 下肢静脈瘤「足に血管のこぶ?」 黒須病院副院長 奥井重徳(さくら市)
第36回 子供の発達と読み聞かせ 国際医療福祉大学塩谷病院 病院長 江口光興(矢板市)
第35回 「結核」—古くて新しい現代の病気— 国立病院機構宇都宮病院院長 沼尾利郎(宇都宮市)
第34回 乳がん−予防を目指して− 黒須病院 院長 金澤曉太郎(さくら市)
第33回 大腸がんの早期発見のために 国際医療福祉大学塩谷病院副院長 一瀬 雅典(矢板市)
第32回 心筋梗塞の話「胸痛が無い場合も」 中津川循環器科内科クリニック 中津川 昌利(高根沢町)
第31回 末梢動脈疾患と「フットケア」   尾形クリニック院長  尾形 直三郎(矢板市)
第30回 受験生のインフルエンザ対策 かるべ皮フ科小児科医院院長 軽部 敏昭(矢板市)
第29回 養生訓と生活習慣病  岡医院院長  岡 一雄(さくら市)
第28回 赤ちゃんの聴覚検査(ことばの贈り物) 植木医院院長 植木 雅人(塩谷町)
第27回 「胸やけ」していませんか? 高根沢中央病院院長 青木 洋(高根沢町)
第26回 受動喫煙に注意しましょう    森島医院院長 森島 真(さくら市)
第25回 救急医療を守るために 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
第24回 腰部(ようぶ)脊柱管(せきちゅうかん)狭窄症(きょうさくしょう)   本間整形外科院長 本間 玄規(げんき)(高根沢町)
第23回 不眠症は万病のもと!? 氏家病院院長 松村 茂(さくら市)
第22回 寝たきり予防のススメ 半田クリニック院長 半田 教(さくら市)
第21回 糖尿病網膜症「血糖コントロールと定期的な眼底検査が大切」 早坂眼科医院院長 早坂 依里子(さくら市)
第20回 糖尿病(3) 「低血糖に備えよう」  上田医院院長 上田 明彦(矢板市)
第19回 糖尿病(2) 「運動療法も取り入れて」   佐藤クリニック院長 佐藤 泉(さくら市)
第18回 糖尿病(1) 「糖尿病を知ろう」 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
第17回 地域医療の危機 「再生のために私たちが出来ることは?」 塩谷郡市医師会長・尾形クリニック院長 尾形 直三郎(矢板市)
第16回 脳梗塞後のリハビリ 「もとの生活に戻れるように」 尾形医院院長 尾形 新一郎(塩谷町)
第15回 かかりつけ医との付き合い方「何でも相談できる良い関係に」 後藤医院院長 後藤 哲郎(矢板市)
第14回 救急外来とコンビニ受診 「救急医療崩壊を食い止めるために」 黒須病院外科 民上 英俊(さくら市)
第13回 救急医療の機能分化  「救急医療の区分けをご存知ですか」  塩谷郡市医師会副会長 阿久津 博美(高根沢町)
第12回 AED(自動体外式除細動器)の話 「大切な命を救うためにできること」 仲嶋医院院長 仲嶋 秀文(さくら市)
第11回 胆石症 「肥満解消と食事が予防の決め手」 黒須病院副院長 手塚 幹雄(さくら市)
第10回 ピロリ菌の話  「除菌治療で胃潰瘍の再発を防ぐ」  山田クリニック院長 山田 聰(矢板市)
第9回 たばこを吸う理由  「わかっちゃいるけどやめられない?」 森島医院院長 森島 真(さくら市)
第8回 「タバコ病を知っていますか?」 肺の病気(COPD) 塩谷総合病院呼吸器科 眞塩 一樹(矢板市)
第7回 肺の病気(喘息) 「発作のない快適な生活を」 塩谷総合病院副院長 阿久津 郁夫(矢板市)
第6回 肺の病気(高齢者の肺炎) 「予防接種で肺炎を防ごう」 黒須病院 呼吸器内科 菊池 和博(さくら市)
第5回 地域医療の現状 塩谷郡市医師会長・尾形クリニック院長 尾形 直三郎(矢板市)
第4回 メタボリックシンドローム 「笑って減らそう、内臓脂肪」 阿久津医院院長 阿久津 博美(高根沢町)
第3回 高血圧症のこと  「本当は怖い、高血圧」 にいたに内科院長 二井谷 誠司(高根沢町)
第2回 高血圧症のこと  「塩分ひかえめ7グラム」 戸村医院院長 戸村 光宏(塩谷町)
第1回 一家に一台血圧計 岡医院院長 岡 一雄(さくら市) 
第56回 塩谷地区の救急医療の現状  塩谷郡市医師会会長 山田 聰(矢板市)
昨年の9月9日(救急の日)の下野新聞に、県内13の消防本部の中で、塩谷地区の救急搬送時間が最も長かったという記事が載りました。搬送時間とは消防の救急隊が通報を受けてから病院に搬送するまでにかかった時間のことで、塩谷地区は49.6分で、最も短い小山市の32.6分と比較して17分、県平均の38.6分と比較しても11分も時間がかかっているのです(2010年統計)。この理由はいろいろ考えられます。基幹病院のひとつである厚生連塩谷病院の経営移譲をめぐる混乱で管内での救急患者の受け入れが低下したことや塩谷地区には大学病院、済生会宇都宮病院、大田原赤十字病院のような高度の医療を担う3次医療機関がないため、それらの医療機関までの搬送に時間がとられることも影響しています。
では、救急患者を受け入れる救急外来が充実すれば問題は解決するのでしょうか。塩谷地区で2次救急を担当する黒須病院も国際医療福祉大学塩谷病院も勤務医の数が十分ではなく、救急に対応する医師は不足しています。また、救急部門はどのような患者がどのくらい来るのか分かりませんから、すべての救急疾患に十分に対応することはほとんど不可能です。できるようにするには多大な人材を待機させる必要であり、医師・看護師・技師たちなどの負担も大きく、その出費を考えると到底実現できません。
そのような2次・3次救急を担う病院の負担を軽減するため、塩谷郡市医師会では昨年4月から塩谷地区おとな・こども夜間診療室を開設し、会員が交代で診療にあたっていますが、参加に消極的な会員もいるため、現状では土曜日と日曜祝日の午後6時半から9時半までしかカバーできていません。私は、参加している先生方への地域の方々の温かいまなざしや励ましこそが今後の夜間診療室の継続や発展の原動力になると考えています。
1月29日(日)午後1時から栃木県と塩谷郡市医師会主催の地域医療フォーラムがさくら市氏家公民館で行われます。塩谷地区の救急医療を地域の方がみんなで考える機会にしたいと思いますので、ぜひ多くの方の参加をお願いします。
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第55回 おなかをこわしたとき 戸村医院院長 戸村光宏(塩谷町)
診察室で、お母さんがお医者さんに話しています。小さいお子さんがおなかをこわしたようです。
下痢が治らなくって、今日は水みたいな下痢なんです。昨日は泥みたいな便でした。えっ、一昨日ですか、一昨日もゆるい便でした。その前は、ふつうでした。
おなかをこわす前には、特別変わったものは食べさせていません。もちろん生肉なんか食べさせていません。
一昨日から今日まで何を食べさせていたのですか? だいたい、いつもどおり普通に食べさせていました。ええ、大人と同じごはんです。ハンバーグも食べました。下痢しているといっても、おなかを痛がるわけじゃありませんし、元気もありますし。今日はこちらへ来る前に、オレンジジュースを飲ませてきました。
おなかをこわしたとき、食べ物に気を配らない人っていますよね。
普段から胃腸が丈夫な人ほど、下痢をしたって平気です。すぐ治ってしまうし、それほど気にしなくてもいいのかもしれません。でも、小さい子供や、高齢者は食べるものに気を使うことが大切です。
冒頭のお子さんの下痢がひどくなっていった理由のひとつは、消化が悪く、腸からの吸収も悪そうな、脂っこいものやみかんなど柑橘系のジュースを飲食していることでしょう。
おなかをこわしたときは、消化されやすい食べ物にしたほうが治りやすいです。くず湯とか、おかゆとか、にゅうめんなどが良いです。そうそう、りんごも良いですね。特にすったりんごが。皮をむいて、おろし板ですりおろして、色が変わらないようにちょっとだけ塩をまぜて。
目の前で作ってあげると、すぐに治ってしまうかもしれませんよ。
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第54回 たかが「かぜ」と油断しないで  岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
 俗に「かぜの特効薬を発明したらノーベル賞がもらえる」などと言われますが、かぜは決してあなどってはいけない病気です。医学的には、かぜは「かぜ症候群」といい、せきや鼻水、のどの痛みなどの上気道の炎症症状を伴う病気の総称です。実にさまざまな種類のウイルスや細菌などが原因となり、秋から冬にかけての気温が低く乾燥した季節にかかりやすい特徴があります。
 ふつうのかぜは、暖かくして消化の良いものを食べゆっくり休めばすぐに治りますが、中には重くなるかぜもありますので油断は禁物です。
 小さな赤ちゃんが兄弟のかぜをもらい、熱が出てせきや鼻水がひどくなることがあります。こういう時はRSウイルスが原因となっている場合が多いのです。RSウイルスは大人や年長児がかかると軽いかぜの症状で済みますが、赤ちゃんがかかると症状が重くなり入院が必要なことがあります。赤ちゃんのいる家庭では家族がかぜをひかないように注意してください。
 せきだけが長引いて治らない子どものかぜは、マイコプラズマという病原体が原因の肺炎の場合があります。元気な肺炎などと呼ばれるくらい本人は元気なのですが周りの人にうつりやすい傾向があります。最近では高齢者でもかかる人が増えていると報告されています。
 実は毎年冬に流行するインフルエンザもかぜ症候群に含まれます。昨年まで流行した新型インフルエンザは多くの方がかかり、また予防接種も広く行われたので、大部分の人は新型インフルエンザに対しある程度の免疫(抵抗力)を持つようになったと考えられます。そのため新型インフルエンザは季節性インフルエンザに移行したと厚生労働省は宣言しました。しかし、新型でも季節性でもインフルエンザはかぜ症候群の中では一番注意しなくてはならない病気です。特に小児と高齢者は命にかかわることがありますので、なるべく年度内に予防接種を済ませ、流行に備えてください。そして、せき、鼻水、熱などの症状が出た時は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
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第53回 家庭の血圧はいくつですか にいたに内科院長 二井谷誠司(高根沢町)
 高血圧には色々なタイプがあります。一日の中で明け方に血圧が最も高くなる早朝高血圧。家庭では正常なのに病院で高くなる白衣高血圧。逆に家庭では高いのに病院では下がる仮面高血圧。これらは病院で血圧を測るだけではわかりにくいものなので、家庭でも血圧を測ることが大変重要です。
 では家庭ではどうやって測れば良いのでしょうか。血圧計は指や手首で測るものより、上腕で測るものが正確です。上腕で測る場合、薄い服なら1−2枚着た上からでも値は変わりませんので、寒い冬場にわざわざ腕を出して測る必要はありません。座って1−2分安静にしてから測るようにしてください。
次に測定回数ですが、血圧は何回測っても同じ値にはなりません。2回続けて測ってみて低い方を記録してください。値があまり変わらない人は1回の測定で十分です。測定する時間は朝食前、夕食前の2回がベストですが、一定していれば他の時間帯でもかまいません。測った血圧は血圧手帳などに記録して病院を受診する時に持参するようにしてください。
家庭血圧の正常値は125/80mmHg未満で、135/85mmHg以上は高血圧です。低すぎると感じる人もいるかと思いますが、これはさまざまなデータに基づき日本高血圧学会で決めた基準です。高血圧は脳卒中、心筋梗塞、腎不全など万病のもとです。自分だけでなく、家族みんなで家庭血圧を測ってみましょう。 

ご意見、ご質問、取り上げて欲しい病気などがありましたら、〒329-1312さくら市桜野1319-3 さくら市氏家保健センター内 塩谷郡市医師会「養生のススメ」係りまでお便りをお寄せ下さい。
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第52回 「認知症の話」 −早めにかかりつけ医に相談を− 中津川クリニック院長 中津川 昌利(高根沢町)
 認知症は、大きく「アルツハイマー型認知症」「脳血管障害による認知症」「その他の認知症」に分けられ、種類によって対処法も異なります。脳血管障害による認知症の場合、病気の進行に合わせて適切にケアすることにより回復する可能性が高いと言えます。また、認知症の約半数を占めているアルツハイマー型認知症の場合でも、症状が悪化してしまう前に「早め」に発見・対処すれば、症状の進み方を遅らせることもあります。
 加齢とともにもの忘れがひどくなると、「もしや認知症では?」と心配になることがありますが、老化によるもの忘れとアルツハイマー型認知症のもの忘れとでは違いがあります。「お昼に何を食べたか思い出せない」など出来事の一部分を忘れてしまうのは、一般的なもの忘れでよくあることですが、認知症では「お昼を食べたこと自体」つまり出来事の全体を忘れてしまいます。
 認知症の初発症状として、もの忘れ以外に財布を盗まれたと思い込む(もの盗られ妄想)、夜になると発作的に起こる精神錯乱の状態で、興奮して外に飛び出す(夜間せん妄)、気分が落ち込んで悲しんだり、何事にも意欲を示さなくなる(うつ状態)などがあります。このような変化がみられた時には、既に認知症が進み始めている可能性があります。物忘れや普段の行動が少しでも「おかしいな」と感じたら、まずはかかりつけの医師に相談してみると良いでしょう。
 認知症は、年単位でゆっくり進行する病気ですが、早い段階から認知症をよく理解し、家族や周囲の人々が適切な対応を行えば進行を和らげることができます。ご本人が快適に暮らせるよう、認知症の人の気持ちを知って、暖かい気持ちで介護することが大切です。
塩谷郡市医師会では一般の方々に認知症の症状や家族の介護などについて知っていただくために、来る9月25日午後1時から、高根沢町町民ホールにて、認知症の講演と劇団「いくり」による演劇を開催します。入場無料ですので、ぜひ皆さまのご来場をお待ちしております。
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第51回 「滲出性中耳炎について」 中川耳鼻咽喉科医院 中川 渉(さくら市)
 かぜ(急性の上気道炎)の時にお子さんが急に耳が痛いと泣き出す、あるいは耳だれが出たという経験をされたお母さんはたくさんいると思います。これは急性中耳炎という病気で、その名称が示す通り急に発症し、激しい耳痛や耳だれを訴えます。一般に知られている中耳炎はこの急性中耳炎で、鼓膜の内側に細菌が入り化膿性の炎症を起こす病気で、はっきりした症状があるので、比較的発見しやすい傾向があります。しかし子供は「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」という別の中耳炎も多いのです。
 滲出性中耳炎は鼓膜の内側に粘膜から滲みでた液体(滲出液)が溜まる病気です。症状は、「聞こえが悪くなる」「聞こえにくい」「耳がふさがった感じがする」「耳鳴がする」などです。急性中耳炎のような激しい症状ではないため周囲は気づきにくく、発見が遅れる傾向があります。
 この滲出性中耳炎は5歳くらいがピークですので、この年齢層のお子さんをお持ちのお母さんは、特に注意してあげて下さい。小さいお子さんは自分から症状を訴えられないことが多いので、「何となく元気がない」「よく耳をさわる」「呼んでも振り向かない」「テレビの音を大きくする」などのちょっとした変化に気づく必要があります。また、聞こえにくさの程度は軽いのですが、放っておくと治りにくくなります。お子さんが小さい時というのは、言葉を覚えたりコミュニケーションを学ぶ大切な時期でもあります。この時期に聞こえにくい状態が続きますと日常生活の中で音を通じた学習が少なくなるため、言葉の遅れや構音障害などが生じ、伸び盛りのお子さんの知的な成長が遅れてしまう恐れもあります。
 滲出性中耳炎は治るまでに時間がかかり、再発することが多い病気です。症状がすぐによくならない場合でも、医師の指示を守って、しっかりと根気よく治療を続けることが大切です。完全に治るまで治療を続けましょう。
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第50回 「ダイエットと岩遊び」 佐藤クリニック院長 佐藤 泉(さくら市)
 この1年半、ボルダリング(bouldering)にはまっています。聴きなれない言葉ですが、自分の手と足だけで川原などの大きな岩(boulder)の凸凹した所や角を登ったりするスポーツのことで、岩遊びです。そんな事して楽しいのかと思われますが、子供の頃、塀や家の屋根、木に登ったことがあるでしょう。 ドキドキ、ワクワクそして少し怖い思いをして登った時の高揚感を味わった事がありませんか? そんな思いを起こさせる遊びです。
 きっかけは本屋で見た山の雑誌にクライミングジムの紹介があり、やりたいなと思い住所をチェックし思い切って行ってみました。初日はぜんぜん登れず。でも、なぜか楽しかった。2回目もう少し登れた。もっと楽しかった。3回目。。。。 気がつけば完全にはまっていました。その時の体重が81Kg、当然体を持ち上げるのが辛い。周りを見れば自分以外みんな痩せています。これがダイエットの始まり。1日の食事の摂取カロリーを計算しました。散歩も始めました。運動した分も含めて1日の消費カロリーも計算しました。1日−300cal、1ヶ月−9000cal体重−1Kg/月が目標です。何を食べてもカロリーは守る。やる事はこれだけです(ちょっとつらいですが確実に痩せます)。体重が減り始めるとジムに行っても前より体が軽く登れる様になって減量に気合が入ります。体重が減るのが嬉しいのか、ジムで登れる様になるのが楽しいのか、1年で11Kg減量でき今では休みの日には塩原や青梅まで行って川原の岩と戯れています。
 患者さんからはよく「どうしたら痩せられますか?」と聞かれますが、「食べない、運動するだけです」と答えています。ちょっと冷たいようですがダイエットを成功させるのは方法よりもまず目的を持つ、そして楽しむ事が肝心だと思います。目的は人それぞれで、オシャレをしたい、早く走りたい等々。何々したいから痩せようと目標を持って頑張ってみて下さい。その上で自分にあったダイエット法がみつけられたらあなたも必ず痩せられますよ。
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第49回 職場でのメンタルヘルス対策 阿久津医院院長 阿久津博美(高根沢町)
 メンタルヘルスは日本語で心の健康のことです。最近、このメンタルヘルスの不調でうつ病などの心の病気になり、会社を休む労働者が急増し大きな社会問題になっております。メンタルヘルスが不調になる主な原因は職場でのストレスですが、終身雇用制が崩れ、派遣という新しい労働形態が製造業に解禁されたため雇用が流動化してきたことも大きな要因と考えられます。職業選択はより自由になりましたが、失業のリスクも高くなったのです。非正規雇用者には正規雇用者との格差や不公平感が職場でのストレスとなっており、安定した雇用状態にある労働者にとっては、過当な成果主義や競争原理の導入がストレスになっています。
一方、家庭や学校で他人とのかかわりが希薄になってきている現代において、人間関係をうまく築くことができないままに成長し、やっと就職しても職場に適応できなくなってしまう若者がメンタルヘルス失調者となるケースも多く、家庭や学校での教育のあり方も問われているところです。
このような社会情勢から、国は職場におけるメンタルヘルス対策に力を入れております。平成21年度に都道府県単位でメンタルヘルス対策支援センターが設置され、管理者の教育や社内体制構築の支援、職場復帰の支援、個別の相談に対する指導助言を行ってきました。さらに県内8ヶ所に設置されている地域産業保健センターでも労働者のメンタルヘルスに関する相談を受け付けております。
また、メンタルヘルス対策の新たな枠組みとして、平成24年4月から職場の定期健康診断の際にストレスに関するチェックを実施することが検討されています。より早期に心の健康問題を抱える労働者を洗い出し、産業医との面接、カウンセリングの実施、専門医療機関受診へと繋げることが目的です。精神疾患に伴う労災認定件数が増加し、自殺者が年間3万人を越える現在、メンタルヘルス対策支援センターは今後益々必要性を増していくことでしょう。

*相談窓口:栃木メンタルヘルス対策支援センターTEL 028−650−2295
塩谷・南那須地域産業保健センター TEL 028−682−2626     
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第48回 もうひとつの診診連携 植木医院院長 植木雅人(塩谷町)
 このたびの大震災により被害を受けられました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
3月11日に起きた未曾有の東北地方太平洋沖地震では、地震発生翌日の早朝に矢板市の保健師から、東北新幹線の乗客が地震の直撃を受け塩谷中学校に避難しているという連絡がありました。地震当日の避難は深夜2時までかかったということです。聞けばたまたま同乗していた医師がボランティアになり乗客の健康管理をしていましたが、乗客の中には持病がありながらも薬がなく困っている方がいるということでした。早速診療所で話を伺うと医療機関で出している薬剤情報提供書はなく、多くの方は空っぽの薬のシートか、裸の錠剤しか持ちあわせていませんでした。錠剤に刻印されている記号から薬を調べ処方したのですが、時間と手間がかかりました。在庫のない薬剤に関しては近隣の診療所へ問い合わせ、処方していただきました。
また、通信、水道、電気などのライフラインが不通になった地域も多くあり、ライフラインが無事だった塩谷町の医療機関には、停電した地域の先生からは患者だけではなく、ワクチンの保管や処置に使う器具の滅菌消毒の依頼などがありました。炊き出しや、入所施設のある医療機関では他の施設の入所者を受け入れ、職員総出で対応してくれた施設もあります。また、被災地への医療支援に向かう災害医療チーム(JMAD)に参加する先生には、その準備の手伝いや留守の間の患者さんの診療の協力。そして、これから重要になるのは、私たちの地域へ避難してきた被災者の健康管理です。これらは、地域の医師会が協力しなければできません。診診連携とは、地域において専門診療科の診療所を中心に他の診療所と連携しながら診療にあたることをいいますが、被災地の方を守るのも、残された地域の方を守るのも、もうひとつの診診連携ではないでしょうか。   
最後になりますが、持病のある方は必ず外出する時は内服している薬の情報だけは控えておいて下さい。
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第47回 塩谷地区おとな・こども夜間診療室の開設 塩谷郡市医師会会長 山田 聰
 皆さんは夜間や休日に急に体調が悪くなった時どうしているでしょうか。少しの発熱や腹痛だったら早く寝てしまうかもしれません。高い熱や強い痛みを伴う時は救急診療を受けるでしょう。動くのがつらい時や我慢できないほど苦しい時には救急車を呼ぶかもしれません。このように夜間や休日の急な病気の対応をするのが救急診療です。救急診療は、外来で対応できる患者を扱う一次救急、入院が必要とされる二次救急、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわるような重病に対応する三次救急に分けています。県北地域では大田原赤十字病院が、県央地域では済生会宇都宮病院が三次救急センターになっており、各医療機関が担当を分けることで適切な救急医療を行うことができるしくみになっています。
 従来、塩谷地区では休日の昼間は当番医療機関が一次救急を担い、夜間は二次救急病院が一次救急も扱ってきました。ところが、医師不足により病院が全ての救急を扱う余裕がなくなったのです。そのため、塩谷地区から大田原市や宇都宮市の休日診療所を受診する患者数が増加しています。例えば、宇都宮市の夜間休日診療所を受診する方の8%は塩谷地区からの患者です。
 この状況を打開するため、私たち塩谷郡市医師会の開業医と勤務医が協力し、この4月から塩谷地区おとな・こども夜間診療室を開設することになりました。
今まで日曜休日に行ってきた休日夜間こども診療室を拡充し、土曜日と日曜休日の夜間に大人も小児も診療することになったのです。具体的には土曜日はさくら市の黒須病院に、日曜休日は黒須病院と矢板市の塩谷病院に隔月交代で夜間診療室を午後6時半から9時半まで開設します。
 担当する医師数も少ないため、宇都宮の夜間休日診療所のように24時間を通した大人と小児の一次救急診療は無理ですが、今後協力医師数の増加を図り、より充実させたいと考えておりますので、地域の皆様のご支援とご協力をお願いしたいと思います。
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第46回 『空飛ぶ鮎』 風見診療所院長 小島 崇(塩谷町)
 羽黒山の麓を流れる鬼怒川の上平橋に立つと、私が幼少期を過ごした、昭和40年代の光景が思い出されます。台風や大雨の後には濁流が山から大木を押し流し、時には堤防を超え、当時の木造だった橋を押し流す事もありました。一方では、春先には婚姻色をまとったアイソ(ウグイ)が、何十匹、何百匹と固まり、浅瀬で産卵する光景に出会ったり、夏になり、ガラス箱で川底をのぞくと、石の下で至る所に鰍の姿を見ることが出来ました。
 当時、鮎の友釣りを父より教えられた私はその強い引きに夢中になっておりました。ある日肌を焼く日照りの下で竿を出していると、下流の方で「うちわを叩く」ような音がしたので、振り向くと、背ビレをいっぱいに張った立派な鮎が、侵入者への怒りを体いっぱいに表し空中へと飛び上がった姿でした。当時は、鮎も人も活気があり、貧しいながら輝いていた時代でした。
 5年前にこの地に帰るまで、私は鹿児島の姶良町北山という限界集落で国保診療所に務める「GP」でした。GPとは、General Practitionerの略で、内科・小児科・整外科・耳鼻科の分野の初期治療を担う医師のことです。当時の診療所の仕事は、24時間、365日と、勤務時間はあってないようなものでした。
 ムカデ咬傷やイボの様な山ダニ刺傷、重いものでは、林業を副業にしている方が多いため、伐採の際、木の下敷きになり、軽トラックの荷台で運び込まれた事もありました。夜ともなると、街灯のない道は動物天国の状態であり、心細い思いをしながら農家へ往診にでかけました。台風が上陸した後は、倒木により電線が切られ数日間停電します。その間、夜通し、発電機を回し続けたこともありました。
 いつかそんな生活に戻れる日を望みながら今度の夏も「空とぶ鮎」との出会いを夢みて、鬼怒川で竿を出す日を待つ毎日です。
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第45回 ストレスと病気    岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
 かかりつけの先生から「ストレスを避けてください」とか「ストレスを上手に解消してください」とか言われたことはありませんか。ストレスはいろいろな病気の引き金になったり、病気を悪化させる原因となります。うつ病や神経症などの心の病を起こすことはよく知られていますが、体の病気も起こすのです。
例えば、身近なところでは、ストレスにより血圧が急に高くなることがあります。家では血圧が高くないのに職場では血圧が高くなる人もいます。不整脈や頻脈(脈が速くなること)が起こる人もいます。普段健康だった人が過労によって突然死する、いわゆる過労死もストレスが大きな原因です。他に、ストレスでぜんそく発作が起きたり、胃潰瘍になったり、下痢したり、円形脱毛症になったりと実に百以上の病気を引き起こすと考えられています。
ストレスによって病気が起きるのは、戦争などの極限状態を除けば現代社会に特有のものです。行き過ぎた経済至上主義が人に過剰な競争や成果を求め、職場や地域社会での人間関係もストレスを増大させます。ストレスを抱えた人が作る社会は自ずと冷たく、ギスギスした雰囲気のものにならざるをえません。
普段仲良く暮らしているラットを電気刺激というストレスを与え続ける環境に置くと、他のラットに対し攻撃的になってしまうという実験があります。人間も同じことが言えるのかもしれません。ストレスが人を攻撃的な性格に変え、人に暴力をふるったり、いじめるという構図は、子ども社会から大人社会まで共通して見られます。ストレスによって起きる病気の根本的な解決はストレスがない社会を作ることなのかもしれません。
 来る2月27日(日)、さくら市氏家公民館で「いじめバイバイライブ」が行われます。いじめもまた現代社会のストレスが生み出した心の病のひとつです。ライブでは「他人への思いやりを持とう」「自分に自信を持とう」をテーマにいじめから立ち直った若者や県内で活躍するプロのアーチストたちが出演します。音楽を聴いて現代社会について考えてみるのはどうでしょうか。
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第44回 期待の新登場 乳幼児のHib、肺炎球菌ワクチン  かるべ皮フ科小児科医院院長 軽部敏昭(矢板市)
 私が新米小児科医の頃、繰り返し受けた指導で最も強調されたのが「髄膜炎のサインを見落とすな」でした。中でも細菌性髄膜炎は治療が困難で、早期発見できないと予後が悪い恐ろしい病気だったのです。残念ながら、30年たった今でもその治療の難しさはあまり改善していません。中でもHib(インフルエンザ菌b型)と肺炎球菌は乳幼児に発症する細菌性髄膜炎の二大悪玉菌といえます。日本では年間600人ほどの乳幼児にHib髄膜炎が発症し、5%が死亡、30%に重篤な障害を残すといわれています。肺炎球菌髄膜炎はHibに比べ頻度は少ないのですが、死亡や障害を残す率はHibより高く怖い病気であることに変わりはありません。
 この悪玉菌たちに対する切り札として、最近Hibと子どもの肺炎球菌に対するワクチンが国内で認可されました。これらのワクチンは、すでに海外ではHibは20年前、肺炎球菌は10年前から定期接種され安全で劇的な効果があることが実証されています。Hibも肺炎球菌も感染時期は1歳前後から5歳くらいに集中するため、ワクチンはこれより早い時期に行われなければなりません。この時期はBCG、3種混合ワクチンなど大切なワクチンが目白押しです。そこで、2種類、3種類のワクチンの同時接種がおこなわれます。両方の腕に2本、3本と続けて接種するのはかわいそうな気もしますが、安全性は確立しており、お子様も医療機関に足を運ぶ回数が少なく、短期間に効率よく接種できるのが利点です。
 小児科医の多くは1日も早くHib、肺炎球菌ワクチンが登場することを願っていました。Hib、肺炎球菌髄膜炎は発症してからでは治療が難しい病気です。後悔しないためにも早期のワクチン接種をおこなう。これこそ、赤ちゃんへの素敵なプレゼントだと思うのです。
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第43回 のみ込み難いと感じたら 越井クリニック院長 越井 健司(高根沢町)
 水分や食べ物をのみ込む動作を嚥下運動といいます。この嚥下は口(口腔)からのど(咽頭)、食道を通って胃に送る運動です。とりわけ咽頭運動は1秒以内と一瞬の動作で、その指令室は延髄といって脳と脊髄のつなぎ目脳幹にあり、大脳や小脳の制御を受けています。そのどこかに異常が起こると、うまくのみ込むことができなくなり(嚥下障害)、無理に食べようとすると気管に流れ込んで誤嚥肺炎の原因になります。
 のみ込み難い、むせる、しゃべりづらいといった症状をきたす病気には、脳の血管が詰まる脳梗塞を代表とする脳血管障害、神経・筋肉に異常をきたす難病(重症筋無力症や筋委縮性側索硬化症など)、頭頸部・胸部の疾患(口腔や咽頭・喉頭がん、食道がんなど)、放射線照射後、加齢によるものなどがあります。もし、そのような症状がある時は、かかりつけの先生に相談してみましょう。神経内科や耳鼻咽喉科を紹介してくれます。
 耳鼻咽喉科では口腔、咽喉頭の診察と、嚥下内視鏡検査で嚥下の状態を評価します。その結果、嚥下障害が軽症なら外来で経過をみたり、嚥下指導を行いますが、重症なら、より専門的な医療機関で診察を受ける必要があります。
 治療は、本人が口から食べたいという意欲があれば、食物の硬さやとろみを工夫することで残された「のみ込む」機能を上手に使うなどの、リハビリテーションが中心になります。それでものみ込めない場合は、嚥下障害の手術を耳鼻咽喉科医が行うことになります。
入院、在宅を通して、嚥下障害に対しては内科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科の医師や、看護師、理学療法士、言語聴覚士、介護する人、家族によるチーム医療が不可欠です。お住まいの地域で最善のサービスが受けられるよう、かかりつけ医の先生や市町の窓口で相談されることをお勧めします。
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第42回 最新の内視鏡手術:ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術) 日本が世界のリーダー 花塚クリニック院長 花塚和伸(さくら市)
 日本は匠の国です。紛れもなく世界一の技術大国と思います。内視鏡の世界でも同様です。1950年、世界で初めて日本人がカメラで胃の中の撮影に成功。内視鏡で行うポリープ切除術も世界初でした。その後も内視鏡治療においては日本は世界をリードしてきました。それらの中でも“内視鏡的粘膜下層剥離術”(略してESD)が最新の治療法です。胃カメラから太さ0.3mm、長さ1〜3mmの髪の毛のような電気メスを通し、これまでは不可能とされていた苔のように薄く広がるタイプのポリープやがんを削ぎ取る技術です。根が深くない早期がんならば10cmにも及ぶ大きな病変も切除が可能になってきています。以前ならばお腹を開け、胃を切り取る“開腹手術”が中心でした。それが、今は胃カメラで治療が出来るのです。口から胃カメラを挿入し、胃の内側からがんを薄く剥ぎ取ってくる治療です。一時的には人工的な潰瘍になりますが、その潰瘍は浅いため、手術2日後には食事が摂れ、約1週間で退院できます。ただし、この治療には条件があります。“根が深い進行がん”ではこの治療は出来ないのです。そう!早期発見がとにかく大切なのです。
 残念なことに、健診で見つかる時にはすでに早期を超えていることがあります。ちょっとでも症状があったり、気になる時には、なるべく早く内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)を受けましょう! 早期発見ができれば、負担の少ない内視鏡での治療ができるのです。内視鏡も日々進化しており、現在はハイビジョン拡大内視鏡や、特殊光内視鏡などでは、ごま粒ほどのがんも見つかるようになっています。また、いかに楽に内視鏡検査を受けて頂くか、我々も色々考えて工夫をしていますのでぜひお問い合せください。内視鏡検査を受け、がんを早期発見、治療することで、以前と変わらない生活を送ることが可能となり、がんで命を脅かされることもなくなるでしょう。
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第41回 聞こえはこころをつくる  村井医院院長  村井信之(矢板市)
 人間の五感の中で一番最初からあって死ぬまで使う、一番大切な感覚。それは聴覚です。 聞こえは生まれた瞬間から、人間個人の脳の発育を促し感情・情緒を形成してゆきます。 まったく聞こえが正常な子でも、人間の言葉を聞かせないと言語を習得しません。逆に、教えなくても、赤ちゃんのうちから3ヶ国語でしゃべっていれば3ヶ国語覚えます。音程も聞き分けます。音感を良くしたければ、赤ちゃん(3歳未満に)をよい音楽を聞かせる環境におくとよい、ということです。(歌わせるとなお良い)
さて小さい子どもで、聞こえが悪いとどんなことがおこるのでしょうか?もちろん言語の習得が悪くなりますが、感情の発育にも関与しているので、情緒が不良になります。自分の思い通りにならないと怒りやすくなります。いうことを聞かない、すぐ泣く、暴れる、我慢できない、など。これは裏を返せば、聞こえないことに対する、個体の原始生態防御反応の現れとみることもできます。
聞こえるようにすると、驚くほど情緒が改善し、おとなしい、いい子になるのです。現代の若者がすぐ切れる、人間としての人格形成が二十歳になってもまだできない、引きこもりになる、……もしかして、その人!聴力が心配です。
 そして人間は老化し、老人性難聴が問題となります。現在65歳以上の40%にあたる1000万人が老人性難聴と推測され、これは昭和50年代に比べて倍増しています。老人は、脳の神経細胞がはらはらと抜け落ちてゆくわけですが、聞こえが悪いと脳に入ってくる刺激が極端に減少し早くボケます。被害妄想になったりもします。逆に、少しボケていた老人の聞こえをよくしてあげると、すこしシャッキリしてきます。今まで棺桶に片足入れていた人が、いったいどうした?ってくらい良くなることがあります。聞こえは、このように人間の感情、やる気、考える力に作用します。
 耳は脳を常に活性化させているのです。聞こえるということが人間の情緒的エネルギーであるわけです。
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第40回 在宅医療の話  岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
 体の具合が悪くても病院にかかりに行けない時に往診を頼むことがあるかと思います。最近ではその往診が様変わりしてきています。一般に医療は、医療を受ける場所によって外来医療(外来診療)、入院医療、そして患者さんの居宅で診療する在宅医療の3つに分けられます。在宅医療の中でも、患者さんの病状に応じて定期的に訪問して診療することを「訪問診療」と呼び、緊急で訪問して診療することを「往診」と呼ぶようになりました。
近年では寝たきりの高齢者の増加に伴い、この在宅医療がとても重要になってきています。在宅医療は、医師だけでなく、必要に応じて訪問看護ステーションの訪問看護師、介護職のケアマネージャーやヘルパーなども連携して行うチーム医療です。様々な職種がそれぞれの得意分野を生かした連携を行うことで、患者さんにより良い医療や介護を提供できるのです。
 在宅医療は住み慣れた自宅で病気の療養を行えるのがいい点ですが、はたして最後まで入院せずに自宅で過ごすことが可能だろうかと考える方もいるかと思います。実際、現在の日本では居宅で亡くなる方は8人に一人しかいません。住み慣れた場所で最期を迎えたいと考えていても、家族に重い負担がかかるなどの難しい点がありました。しかし、最近では在宅医療の制度が整備され、訪問診療専門の医療機関も増えてきましたので、以前よりは患者さんの希望に添えることができるようになってきています。
来る10月3日(日)午後1時からさくら市氏家公民館大ホールにて塩谷郡市医師会主催の市民公開講座が開催されます。在宅ホスピスに積極的に取り組んでいる渡辺邦彦先生による「在宅医療の実際−自宅で看取るということ−」という題の講演が行われます。ぜひ多くの方にご参加いただき、在宅医療を身近なものとしてとらえていただきたいと思います。
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第39回 視力と目「適正な矯正で快適な生活を」  かとう眼科院長 加藤 健(さくら市)
皆さんは視力とその矯正方法についてどうお考えでしょうか?
裸眼視力(メガネやコンタクトレンズをしない状態)が悪くなる原因には近視や遠視、乱視、さらには老視など色々あります。
近視の多くは病気ではなく、ただ遠くが見えにくいだけです。現代社会では近くを見る作業の方が多いため、近くが見える近視の方が有利な場合もあります。近年では増加傾向にあり、およそ3人に1人が近視であるとされています。一般的にはメガネやコンタクトレンズがよく用いられます。コンタクトレンズは視野も広く、スポーツの時などメガネよりも有用です。また、美容的なツールとしての使用も多いようです。
最近では、老視の矯正用に遠近両用のコンタクトレンズも増えており、幅広い年齢層の方が利用されています。日本におけるコンタクトレンズ装用者の数は1500万人といわれ、およそ10人に1人がコンタクトレンズをしていることになります。多くの方が使用しているコンタクトレンズですが、直接目に触れるものですので誤った使い方をすれば失明に至る危険性もあります。利便性だけにとらわれず、安全性も重視し、きちんとした検査・診察を受けることをお勧めします。適正に使用されれば安全性も高く、非常に便利なものです。
日頃から目をいたわる生活を心がけ、見えにくくなってきたら眼科の先生に相談してみましょう。また、目を守るために1年に1回は検眼してもらいましょう。一人でも多くの方が健康な目で快適に過ごされることを願っております。
さあ、新たな自分に出会う一つのツールとして、メガネ?コンタクトレンズ!?この他にも、レーザーによる治療や特殊なハードコンタクトレンズを夜間に付ける方法など、視力矯正には色々あります。まずは眼科にて相談をしてみて下さい!きっと、あなたに合ったいい答えが見つかるはずです。
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第38回 子宮頸がんワクチン  大草レディスクリニック院長 大草 尚(さくら市)
 ワクチンで予防できるがんがあるのをご存知ですか。
 それは子宮頸がんです。子宮の入り口にできるがんで最近では20〜30代の若い女性に急増しています。この発病の原因がHPV(ヒト・パピローマウィルス)の長期間の感染で引き起こされることがわかりました。
 HPVはどこにでもいる菌で性交渉により感染します。このウィルスは性交経験のある女性であれば誰でも感染したことがあると考えられているありふれた存在です。HPVは何種類もの型がありますが、一部の型が子宮頸がんの原因になります。HPVに感染しても子宮頸がんになるのはごくまれで、約90%は自然消滅します。しかし、約10%はウィルスが消えずに長期化します。この中に将来、子宮頸がんに進む可能性のものがあります。
 近年、このHPV感染を予防する子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が開発され、先進国ではすでに何年も前から接種が始まっています。わが国では昨年10月に承認され、接種が始まりました。ワクチン接種は初回性交前に行われるのが理想です。調査によると性交経験は中学3年生までは約10%以下ですが、高校生になると20%以上に増加します。したがって、性交経験が増加する前の中学生までに接種すると予防効率が良いため、11〜14歳の女子が接種対象者として最優先されています。もちろん、15歳以上でも、性交経験のない女性は全面的に利益が得られますし、すでに性交経験のある女性でもHPVの再感染を防ぐことができるため、子宮頚がんの予防の恩恵を受けられます。
 ワクチンの接種は初回接種後、1ケ月後、6ケ月後の3回の接種になります。いままで、ワクチンが高価なこともあり接種が進みませんでしたが、県内の各自治体で公的補助や集団接種が始まったところもあります。多くの方にHPVワクチンの必要性を理解していただき、将来子宮頚がんで命を奪われたり、赤ちゃんが産めない体になるのを防ぐために、ぜひ予防接種を受けていただきたいと思います。
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第37回 下肢静脈瘤「足に血管のこぶ?」 黒須病院副院長  奥井重徳(さくら市)
夕方になると足がおもい、だるい、つれる、足に血管のこぶがある、足の内側の皮膚が茶色になる、かゆい、じくじくする、潰瘍ができている。
そんな症状に心当たりはありませんか。
この原因の背景には静脈の還流障害(心臓への血液の戻りが悪い)があり、その結果、汚れた血液が足に停滞して栄養障害を起こします。同時に下肢(足)静脈がこぶのように拡張していきます。この病気がいわゆる下肢(足)の静脈瘤です。
下肢(足)静脈瘤の原因は静脈血流の逆流に尽きます。血管には動脈と静脈の2種類があり、動脈には心臓というポンプがありますが、静脈にはそのような強力なポンプはありません。そのため、静脈血はゆっくりと流れていますが、その流れを促すポンプに代わるものは唯一足の特にふくろはぎの筋肉運動です。さらに静脈は逆流防止弁を内腔に持っています。つまり足の静脈が健康であるためには適切な筋肉運動(歩いたり、走ったり、体操)と同時に逆流防止弁がきちんと働いていることが重要なのです。
下肢静脈瘤は、性別を問わず男性にも女性にもありますが、圧倒的に女性に多くみられます。その発症のきっかけは、妊娠・出産が大きく影響をしていますが、立ち仕事や遺伝的体質なども影響します。
予防には、立っていても座っていても、足を良く動かすこと、弾力ストッキングを着用すること、適度な運動を心がけることなどが挙げられます。
最初に示したような症状がすでにある場合は医療機関を受診したほうがいいでしょう。治療法は、病状によって異なりますが、ストッキング着用と運動療法、手術療法、硬化療法などがあります。
詳しいことはかかりつけ医、または専門の医師に一度相談してみてください。
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第36回 子供の発達と読み聞かせ 国際医療福祉大学塩谷病院 病院長 江口光興(矢板市)
 1999年アメリカの小児科学会が「2歳以下の乳幼児にはテレビを見せない」という勧告を出しました。なぜでしょうか。それはテレビやビデオでは見る側は話を一方的に受け取るだけで、こちらから話しかける会話が全くないからです。これでは対人関係の構築、社会性の発達には寄与できないからです。日本の現状はどうでしょうか。手軽に、静かにしているからと、長時間テレビの前に座らせ、そして、子供たちは、少し成長すると、テレビゲームに専念します。独りでただテレビを見つめ、無言で指をピコピコ動かしている世界は異様に思えます。
 乳幼児期は人と人とのコミュニケーションを通じて社会を知り、人格を形成する最も基本的な時期なのです。1歳になるまではどんなこともすべて認めてあげて、温かく包みこむ母の愛が必要ですが、1歳を過ぎると少しずつ、対話する社会が広がります。社会で生活する基本的事項、マナー、相手を思う気持ちを学び、そして、家庭、家族という狭い社会から、徐々に広い社会へ巣立っていくのです。まずは家族で会話をしましょう。絵本の読み聞かせはよい方法です。母親あるいは父親がそばにいて、同じものを見て、親の声を聞き、そして、会話ができるのです。本を介してじっくり考え、会話を通じて、自分の意見を述べることができるでしょう。ぜひ、家庭での読み聞かせの機会を多くとってください。幼稚園や保育園でたくさんの子供を相手にする読み聞かせとは違った、中身の濃い読み聞かせができるはずです。
これからの社会生活では、お互いのコミュニケーションが非常に重要です。これが十分にできずに成長した人を見ると、仕事場でチームワークができず、カッとして相手の心を傷つけ、あるいは、自分の殻の中に閉じこもってしまいます。
親と子の心のつながりを密にする第一歩として、読み聞かせを勧めます。きっと、テレビでは得られない大きな成果が得られるでしょう。
(日本児童文芸家協会会員)
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第35回 「結核」—古くて新しい現代の病気—   国立病院機構宇都宮病院院長 沼尾利郎(宇都宮市)
 県北に住む会社員A子さん(46歳)は、3ヶ月前から咳が続いていました。
かぜの症状はなくなったのにゴホゴホとした咳が治らないのです。小児ぜんそくの既往のあるA子さんは以前に治療を受けたことのある「咳ぜんそく」と自己判断して、自宅にあった吸入ステロイド薬を使用しましたが良くなりません。このため、近所のかかりつけ医から専門の医療機関を紹介してもらい、胸のエックス線や病原菌の検査を受けたところ、「肺結核」と診断されました。
 明治から昭和20年代まで結核はわが国の死亡原因のトップであり、「国民病」や「死の病」と恐れられてきました。有効な薬剤の登場や栄養状態の改善により、今では患者数も大幅に減って入院期間も短くなりましたが、結核は現在でも毎年2万人以上が発生している重大な感染症であり、決して「過去の病気」ではありません。
 結核が単なる風邪やインフルエンザと異なるのは、飛沫核感染(空気感染)により学校・病院・事業所などで集団感染がしばしば起こることです。重症患者が咳やくしゃみをした時のしぶき(飛沫)には結核菌が含まれており、このしぶきの水分が蒸発して核の部分の結核菌だけが空気中にただよい(飛沫核)、これを周囲の人が吸い込む事で感染の機会が生じます。しかし結核菌に感染しても必ず発病するわけではなく、通常の免疫力があればほとんどの人は発病しないのです。

 『呼吸(いき)すれば胸の中にて鳴る音あり
     凩(こがらし)よりもさびしきその音』 (石川啄木)

 26歳の若さで世を去った啄木は、その短い生涯を貧困と結核と言う2つの苦しみによって悩まされ続けました。このため彼の歌には常に死の影が感じられ、その作品は深い諦観のなかにあります。昔の結核は啄木のような若者がバタバタ死んでしまう若者の病気でしたが、今の結核は約半数が70歳以上の高齢者であり、外国人やホームレスなど社会的弱者の患者も増えています。自覚症状のほとんどない結核もあるため、定期的な健康診断を受けるとともに咳や痰が2週間以上続く場合には早めに医療機関を受診してください。
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第34回 乳がん−予防を目指して− 黒須病院 院長 金澤曉太郎
近年、本邦にあっては乳癌による死亡が急増しています。勿論、乳癌に対する治療戦略も急速に進歩し、5mm位のものでも診断出来るようになり、また手術方法、放射線療法、薬物治療も日進月歩の発展を示しております。しかし、乳癌には多数の種類があり、また、発見される病期も多様ですので、夫々の腫瘍に応じた治療方法が採用されなければなりません。徒に乳房温存術に固執することなく、信頼できる専門医と良く相談されて、最適の治療方法を選んでもらって下さい。勿論、早期発見の意義は現在でも変わりませんから、1年か遅くとも2年に1回は乳癌検診を受けられますように。
しかし、何と言っても予防が一番大切ですから、日常生活習慣の改善から始めて、乳癌にならないように注意して行きましょう。本邦の60歳以上の女性の剖検例の約6%に小さな乳癌が見つかります。この頻度は乳癌死亡率が日本よりも遥かに高い英米人のものと全く同じです。乳癌の発生率と死亡率とは並行しないことから乳癌が発生しても、それが大きくなり致命的になるには環境因子の関与が想定され、ハワイ在住の日系二世三世についての研究から、食物等の重要性が明らかとなりました。即ち、二世、三世となると食生活が現地人の食事、つまり西洋食化してくることが原因と目されています。かって本邦における主な蛋白源は魚と大豆でした。大豆に含まれるイソフラボンの中にはある種の乳癌の発生を抑制するものがあり、青魚の油にはある種の癌の発生を抑える作用が知られています。肉食、殊に脂肪摂取量が増え、また、体を動かすことが少なくなると肥満が惹起されます。脂肪組織からは女性ホルモンをはじめ乳癌発生を促進する因子が産生されます。肉や魚など蛋白質を焦がすと癌原物質が産生され、それらのなかには脂肪に溶け込んで蓄積されるものがあります。乳房は非常に脂肪の多い組織でありますから、このような外的因子に敏感に反応します。肥満に加えて、喫煙〈間接喫煙でも〉や過度の飲酒が乳癌発生を促進させることは疫学的にも証明されています。
別に明治時代に戻れとは申しませんがカロリーの摂り過ぎを控え、体を動かす等、誰でも何処でも出来る、日常の一寸した注意で健康と美の象徴である乳房を大切に守って下さい。
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第33回 「大腸がんの早期発見のために」  国際医療福祉大学塩谷病院副院長 一瀬 雅典(矢板市)
 結腸または直腸にできたがんを総称して大腸がんと言いますが、その罹患率(大腸癌になる率)や死亡者数は増加の一途をたどっており、既に現時点でも癌の中のトップ3に入る国民病となっています。
残念なことにこの大腸がんの予防法については未だ明確なことが分かっていません。飲酒・喫煙・食物繊維不足・肥満など幾つかの因子は指摘されていますが、漠然としすぎていて実際の予防策は無いのが現状です。となると一定の確率で大腸がんになるのは避けられないと考えるしかありません。
しかし、大腸がんにはありがたい傾向があります。実は大腸がんは罹患した人に対しての死亡率が30〜40%と低いのです。つまり、「大腸がんになっても治っている人が多い」ということで、ここが肺癌などとは違います。大腸がんで重要なのは「多少進行癌であっても、少しでも早めに見つけて治る群に入ること」なのです。
早期発見へ最も確かな方法は「大腸内視鏡」です。原因不明の貧血・血便・腹痛などの自覚症状があれば、最初からこれを受けるのがよいでしょう。症状が無くとも最も確実に早期癌を見つけたいなら内視鏡検査が一番です。検査も専門医が行うと以前に比して大分楽に済むようになっていますからお勧めです。
とはいえ大腸内視鏡は「準備の手間」や「検査への恐怖」から敷居が高いのも事実です。そこで次善の策が「便潜血検査2日法」です。2回の排便を採取提出するだけですから簡単です。ただし便潜血検査ではある程度進んだ病変でないと陽性に出ない事があるので注意が必要です。2回の便検査のどちらか一方でも陽性なら躊躇せず内視鏡を受けましょう。その決断力があなたを救うことになります。
「大腸内視鏡による定期検査」が無理なら「年1回以上の便潜血検査」を受けて、みんなで大腸がんを克服していきましょう。
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第32回 心筋梗塞の話「胸痛が無い場合も」  中津川循環器科内科クリニック 中津川 昌利(高根沢町)
 心臓の筋肉に酸素などを供給する栄養血管を冠動脈と呼びます。その血管でコレステロールを含む塊が破裂したり、血管自身がけいれんを起こしたりして完全に詰まり、血液が途絶えてしまうと、心臓の筋肉が死んで動かなくなってしまいます。これを心筋梗塞といいます。
 この病気の特徴的な症状で最も多いものは激しい胸の痛みと思われていますが、必ずしも胸痛が起こるわけではありません。あごや歯の痛み、胸やけ、胃痛、背中の痛み、肩こりなどのさまざまな症状があります。人によっては全く痛みの無い場合もあり、このような心筋梗塞を無痛性心筋梗塞といい高齢者や糖尿病の患者さんに多く見られます。これは痛みを脳に伝達する神経が異常をきたし胸痛が感じられなくなっているために起こります。「一週間前から体調が悪いと来院した糖尿病の患者さんが、心電図や血液検査で既に心筋梗塞を発症していた」「健康診断で心筋梗塞と診断された」など胸痛が無くても心筋梗塞だったという例があるので注意が必要です。
 また、同様の症状を伴う心臓の病気で狭心症という病名もよく耳にしますが、狭心症は心筋梗塞の予備軍で、症状が軽いのが特徴です。狭心症を繰り返している方が充分な治療を受けないまま放置しておくと心筋梗塞を引き起こすことがあります。狭心症のうちにカテーテルによる冠動脈形成術を受けることで心筋梗塞の発症を予防することができます。
 狭心症、心筋梗塞ともに基本的には動脈硬化を背景とした病気ですから、動脈硬化の危険因子を減らすことが予防、再発防止につながります。喫煙、肥満、運動不足を改善し、血圧、コレステロール、血糖値、尿酸を定期的にチェックし、場合によっては治療を受けましよう。
 心筋梗塞は発症してから8時間が予後を左右すると言われています。そのため、おかしいと思ったら躊躇せず早めに医師の診察を受けることが重要です。
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第31回 末梢動脈疾患と「フットケア」  尾形クリニック院長 尾形 直三郎(矢板市)
 皆さんは、自分の足をつぶさに観察したことはありますか?ほとんどの方が注意して観たことがないと思います。しかし、たかが足と馬鹿にしたものではありません。足のちょっとした変化が大きな病気の一部を表していたり前兆であったりすることがあります。
冬になると、「足が冷たい」、「足がしびれる」、「100mほど歩くと肢の裏側が痛くなり歩けなくなるが、少し休むと再び歩けるようになる」、「足の指先の色が青黒く変色したり潰瘍(かいよう)ができ、静かにしていても痛くて眠れない」と来院する方がいます。
これらは末梢動脈疾患(閉塞(へいそく)性動脈硬化症)と呼ばれる病気の典型的な症状で、下肢の動脈の狭くなる度合いや場所により異なった症状が現れます。以前はあまり見かけない病気でしたが、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満)や喫煙、高齢が関係し、年々患者数が増加しています。しかも、なかなか治り難く、進行すると薬で治すことが出来ずに足(脚)を切断せざるを得ないこともあります。これらの病態の多くは動脈硬化が関与し、狭心症・心筋梗塞(こうそく)や脳出血・脳梗塞などの命にかかわる重い病気の発症とも密接な関係があるので、下肢の動脈硬化の状態を早めに把握し治療することが大切になります。
そのため最近では「フットケア」と言って、足を良く観察することが勧められています。足が冷たい、指先の色が変だ、爪の形がおかしいなどに気付いたら、早めに「かかりつけ医」に相談してください。さらに腕と足の血圧を測ることで血管の硬さや弾力性が分かる検査も普及しており、自分の血管年齢を知ることもできます。
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第30回 「受験生のインフルエンザ対策」 かるべ皮フ科小児科医院院長 軽部 敏昭(矢板市)
 たまの外出で遅い帰宅になってしまった時、学習塾のガラス窓を通して真剣な表情で黒板をみつめる受験生を目にすることがあります。一つのことに打ち込む姿には、昔日の自分の姿を思い返し、悔いのないように努力してほしいと声援を送りたくなります。
 遅くまで勉強に励んでいる受験生にとって、頭の対策は万全(?)と思いますが、健康対策はどうでしょうか。受験シーズンはまさにインフルエンザの流行期に一致します。今年は従来の季節性インフルエンザに加えて新型インフルエンザの流行が予想されます。受験生にとっては勉強するのと同等にインフルエンザ対策は必須です。いくら頭に準備が万全でも試験当日インフルエンザにかかってしまったら…。想像するだけで身震いがします。
 インフルエンザ予防の一番は予防接種。今年は厄介なことに季節性プラス新型の予防接種が必要です。季節性に対する予防接種は毎年接種を受けているか最近に罹患(りかん)歴があれば1回で済みますが、新型は2回の接種が必要です(今後の状況で変化することもあります)。しかもワクチンの供給不足が心配されますので早めの対策が必要です。うがい・手洗いの励行やマスクの着用、試験間近には人ごみを避けるなどの配慮も必要でしょう。
 それでもインフルエンザに感染してしまったら、受験生たるもの最悪の事態もシミュレーションしておくことが大切です。まずは医療機関に。
抗インフルエンザ薬は、即効性は無理でも発熱期間の短縮が期待できます。かぜ薬の一部には眠気が出るものがあるので医師に相談するといいでしょう。学校側もインフルエンザ対策はしているでしょうから、別室受験はできるでしょう。病状を事前に連絡して指示を受けておくと安心です。
 ところで、自分以外の受験生がみんな試験の日にインフルエンザにかかったら、なんて妄想している君。世の中はそんなに甘くありません。頭の対策は君次第。さっさと机に向って勉強開始。
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第29回 養生訓と生活習慣病 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
 今から300年ほど前、江戸時代の前期〜中期に84歳まで長生きした貝原益軒(かいばらえきけん)という儒学者がいました。益軒は儒学に限らず、博物学や教訓の書も多く著し、かのシーボルトが「日本のアリストテレス」と評したといわれています。その益軒の著書の中で最も有名なのが「養生訓」です。
 養生訓には「人として生まれてきたからには自分自身人生を楽しみ、また人をも楽しませるべきで、そのためには健康で長生きしなければならない。そして、長生きするには養生することが必要だ」と書かれています。病気の時などに「養生してください」といいますが、では実際に養生するとはどういうことなのでしょうか?
 誰でも、働きすぎたりストレスがたまったり、睡眠不足だったりすると体の調子が悪くなります。また、風邪などの病気の治りかけに無理をして、またぶり返してしまうこともよく経験すると思います。これは、自分自身の体調に気をかけていれば防げるのです。養生の第一歩は、ふだんから自分自身の体調に気をかけることです。そして、最も肝心なことは、自分自身の欲を抑えて生活することです。特に食欲を抑え、腹八分目を心がけるべきと力説しています。
江戸時代と違って現代は飽食の時代です。世界では10億人が飢餓で苦しんでいるのに、日本人の4人にひとりは食べ過ぎ、運動不足で肥満傾向にあります。その結果、糖尿病になる方が増加しており、疑いの人を含めると1870万人(およそ6人にひとり)もいると推定されます。もし現代人が貝原益軒の養生訓を守っていれば、こんなことにはならなかったのかもしれません。
 今年の塩谷郡市医師会主催の市民公開講座は、糖尿病などの生活習慣病について「運動習慣で一病息災」と題し、11月8日(日)矢板市文化会館大ホールにて行ないます。ぜひ、多くの方の参加をお待ちしております。
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第28回 赤ちゃんの聴覚検査(ことばの贈り物)  植木医院院長 植木 雅人(塩谷町)
 赤ちゃんの聴覚検査を知っていますか? 新生児聴覚スクリーニング検査とも言います。赤ちゃんが検査を受けたお母さんなら知っているかもしれません。
これは生まれつきの難聴を調べる検査です。千人に1人か2人。これは赤ちゃんの聴力検査をして、生まれつきの難聴が見つかる頻度です。
また、「1−3−6ルール」という言葉もあります。生後「1カ月」までに難聴を発見し、「3カ月」までに診断をし、「6カ月」までに補聴器などの支援を開始すると、難聴の赤ちゃんでも健康な赤ちゃんに近い言葉の発達、および社会的発達が期待できるということです。赤ちゃんの聴覚検査は、この発達支援のために非常に有効な手段と言われているのです。
私は近くの産婦人科で定期的に聴覚検査をしています。ある日、上の子が難聴のお母さんから検査の結果を聞かれ、「今は聞こえていますよ」と答えると「ほっ」とした顔をしました。その瞬間私は「妊娠中ずっと心配をしていたのだ」と思いました。上の子のことを尋ねると「早く検査をして見つけていただいたおかげで、補聴器をつけて普通の幼稚園へ通っています」そして「やっぱり早期発見ですね。先生。」と感謝されました。
栃木県の場合、新生児の検査率は約6〜7割と聞いています。県では新生児聴覚検査の専門医の組織はなく公的助成もありません。検査は自己負担になります。また費用も各医療機関の検査方法が違うので異なるかも知れません。産科で対応ができなくても検査の希望があれば、小児難聴専門の医療機関で検査することができます。また、検査後難聴が疑われた時、専門の医療機関だけではなく、県立聾(ろう)学校の乳幼児相談室へ相談することもお勧めします。
「ことば」を育てること、それは「コミュニケーション」を育てることです。
難聴の子を持つ母親の「ほっ」とした顔。新生児聴覚検査を、私たち親から赤ちゃんへの大切な「ことばの贈り物」にしてはどうでしょうか。
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第27回 「胸やけ」していませんか?  高根沢中央病院院長  青木 洋(高根沢町)
 近年、胃食道逆流症が増加しています。胃食道逆流症とは、胃内容物が逆流することにより起きる疾患です。胃酸が食道に逆流することで食道粘膜に炎症をおこし、典型的には胸やけ・呑酸(すっぱい液があがってくる)・つかえ感などの症状が出現します。また、狭心症のような胸痛、慢性の咳・喘息・反復性の肺炎などの呼吸器症状、声のかすれなどの耳鼻科症状が出現することもあります。
 診断は、内視鏡検査の結果でなされます。下部食道粘膜に縦長の発赤やびらんなどの炎症が見られ、潰瘍や狭窄などをきたすこともあります。また症状があっても内視鏡検査では粘膜障害がないこともあり、自覚症状と内視鏡所見が必ずしも一致しないことがあるのもこの疾患の特徴です。そのため粘膜障害が認められなくとも、週2回以上の胸やけ症状があるものは、胃食道逆流症と診断されます。合併症には、食道の出血や狭窄、腺癌の母地となるバレット粘膜が発生します。私も、十数年前に逆流性食道炎から食道狭窄に至り、最終的には手術により改善した患者さんを診させていただいたことがありました。
 この疾患の増加の原因として、食生活の変化(多量の脂肪摂取・アルコール・喫煙・コーヒー・チョコレート・就寝前の食事など)が関連しています。また、薬剤―特に降圧剤(カルシウム拮抗薬など)も関連することがあります。肥満や高齢化、それに伴う体型の変化、ピロリ菌による影響も認められています。
 食事・生活習慣の注意により、ある程度の改善は期待できますが、それだけでは完治は困難です。治療は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)が第一選択となります。治療の中断による症状の再燃・再発が認められますので、継続的な内服が必要となる場合が多いのが実情です。また、合併症の早期発見・管理の観点から定期的な内視鏡検査が有用です。思い当たる症状がある方には、一度内視鏡検査をお勧めします。
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第26回 受動喫煙に注意しましょう 森島医院院長  森島 真(さくら市)
 最近、公共施設や交通機関などが禁煙になるというニュースをよく耳にするようになりました。私たちは、日常生活の中でひんぱんに他人のタバコの煙を吸い込んでいます。これを受動喫煙と言います。この煙がタバコを吸わない人たちの生命と健康を少なからずおびやかすことが明らかになったため、公共の場所での喫煙が規制されるようになりました。
 受動喫煙の有害性はとても深刻です。特に乳幼児への影響は大きく、乳幼児突然死症候群は親の喫煙によって5倍も多くなり、低出生体重児や子どもの呼吸器疾患も確実に増えることがわかっています。大人では、目や鼻やのどが刺激されて気分が悪くなる急性症状や、心筋梗塞(こうそく)や肺がんなどが発症する慢性症状が明らかになっています。国立がんセンターの推計によると、全国で年間2万〜3万人もの人が受動喫煙による病気で死亡しているそうです。
 受動喫煙の話をすると、アスベストやダイオキシン、排気ガスなどのほうが問題だとおっしゃる方がいます。確かに、これらも私たちの健康をおびやかします。しかし受動喫煙は、身近にあって健康への影響が大きいにもかかわらず、十分な対策が取られてこなかったのが問題なのです。
海外では飲食店や宿泊施設も含めて、公共的な施設を法律で禁煙にする国が増えてきています。日本でも神奈川県が受動喫煙防止条例を制定しました。今年4月には、小規模飲食店など一部の例外を除いて、公共の場所を原則禁煙にするよう、厚生労働省が各都道府県に通知を出しています。分煙では受動喫煙を十分に防ぐことができませんので、できる限り禁煙の施設を利用して健康保持を心がけたいものです。
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第25回 救急医療を守るために 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
 人は誰でも健康な時は病気のことなど考えません。なるべくなら病院とは縁がないようにと願っています。ところがそれまで病気一つしたことがない人が突然命にかかわるような病に襲われたり、事故に遭遇することがあります。そんな時に頼りになるのが救急隊や救急病院なのです。
 救急病院は1964年の「救急病院等を定める省令」によって、制度化されました。日本経済が急成長する過程で自動車が広く普及し、交通事故が多発するようになりました。そのため、交通外傷などに対応できる救急病院が必要になったのです。また、以前だったらなすすべもなかった心筋梗塞や脳卒中などの重い病気も医学の進歩により早期に治療を開始すれば治せるようになりました。これらの事情が救急医療の重要性を増すことになったのです。
 救急医療は帰宅が可能な軽い病気が対象となる一次救急、入院が必要となる二次救急、前述の心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患を扱う三次救急に分けられ、それぞれを担当する医療機関や救急救命センターが役割分担することでうまく機能する仕組みになっています。ところが近年、軽い病気の患者が三次救急病院である大学病院に集中したり、不適切な救急車の利用で必要な時に救急車が利用できない状況が起きています。また、救急病院で働く医師をはじめとしたスタッフはあまりの激務に病院から次々と去り、救急病院そのものが存続の危機にあるのです。
 昨年経営移譲で揺れた塩谷総合病院も同じような事情で経営困難に陥りました。この4月から国際医療福祉大学塩谷病院として再スタートしましたが、まだ以前のような救急医療ができる態勢にはなっていません。
 地域の医療を守るためには、地域住民、行政、医療関係者が、よい知恵を出し合って支えてゆく必要があるのです。来る7月11日(土)に矢板市で今後の救急医療の構築のためにシンポジウムが開催されます。ぜひ多くの方に参加いただき、地域医療を自分たちの問題としてとらえてほしいと思います。
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第24回 腰部(ようぶ)脊柱管(せきちゅうかん)狭窄症(きょうさくしょう)  本間整形外科院長 本間玄規(げんき)(高根沢町)
腰痛を起こす病気はいろいろありますが、代表的なものが腰部脊柱管狭窄症です。年をとるにつれ、腰椎が変形して神経の通り道である脊柱管が狭くなり馬尾(ばび)神経や神経根が圧迫されて起こる病気です。腰痛の他に、下肢の痛み(坐骨神経痛)、間欠性跛行などの症状があります。間欠性跛行とは歩行中に下肢や会陰部(えいんぶ、またの所)に異常感覚や痛み、緊張感を覚え、歩行が困難になりますが、少し休息すれば症状が和らいでまた歩けるようになる症状です。この症状は閉塞(へいそく)性動脈硬化症や閉塞性血栓血管炎などの血管の病気でも出現することがあります。
腰部脊柱管狭窄症は以上の臨床的症状に加え、腰椎のMRI検査を行なうことでほぼ確実に診断が可能となります。加齢に伴う病気なので、自然治癒は期待できず、症状は徐々に進行する傾向があります。
治療は保存治療と手術療法があります。保存療法には血行改善薬や消炎鎮痛剤などの薬で症状をコントロールする方法と理学療法、前屈位のコルセット、神経ブロックなどが行なわれます。これらの治療で効果がない場合、特に20m以下の短い距離の歩行で間欠性跛行が出現する場合や下肢まひが出現した場合、会陰部の高度な灼熱(しゃくねつ)感、排尿・排便障がいを呈する場合は早期の手術療法が望まれます。手術は狭くなっている脊柱管を拡大する後方除圧術が主体となりますが、昔から行なわれている椎弓(ついきゅう)切除術以外に、最近では骨を移植する固定術や金属のプレート、スクリューを併用する方法、あるいは手術用顕微鏡を用いて手術侵襲(しんしゅう)を最小に抑えた除圧術などが開発されています。現在では、脊椎・脊髄専門医の行なう手術は安全性が高いですので、症状が重い場合は脊髄機能の温存、早期の回復を考慮し、手術に踏み切るべきだと考えます。
いずれにせよ腰痛の原因を明らかにして治療を行なうことが重要ですので、かかりつけ医の先生に相談するか、整形外科を受診するようにしてください。
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第23回 「不眠症は万病のもと!?」 氏家病院院長 松村 茂(さくら市)
 子どものころ、遠足前や試験前日など、寝ようとしても眠れないといった経験をされたことが皆さんにもあると思います。通常は一時的なもので病気ではありません。しかし、不眠状態が長期間持続して日中の眠気やだるさ、集中力・注意力・意欲低下など様々な不調が現れ、日常生活に支障が出てしまうと「不眠症」という病気として考えます。
 こころの病気である「うつ病」や「不安障がい」なども不眠を伴うことが多く、憂うつな気分や強い不安もある場合は精神科などの専門医に相談したほうがいいでしょう。単なる不眠と思っていたらうつ病で、その治療により不眠も治ることはよく経験することです。
 生活習慣病の「糖尿病」「高血圧」「不眠」は、深い関わりがあることが最近わかってきました。不眠によるストレスが体内のホルモンに影響して血糖値や血圧を上げ、糖尿病や高血圧を悪化させます。不眠のある人はない人に比べて将来、糖尿病や高血圧になる確率が3〜5倍高くなるという結果が出ています。
 このように、不眠症はこころや体の病気の両方にも大きく関わっている侮れない病気です。しかし、不眠症であることを悩みすぎるのもマイナスです。不眠は不治の病ではないということを認識してください。
 対処法の一つとして、朝日を浴びて体内時計を健全に調整する方法があります。逆に、してはいけないことのひとつには寝酒があります。深い睡眠はとれず浅くなり逆効果となるので避けてください。
 睡眠薬に関しては「癖になる」「副作用が怖い」などマイナスイメージのある方が多いようですが、最近の睡眠薬は不安・緊張・興奮をやわらげ自然な眠りを誘うもので、医師の指示どおりに服用していれば安心して使えます。
 不眠が続く場合は、ひとりで悩まずかかりつけ医に相談するか、専門医を受診してください。
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第22回 「寝たきり予防のススメ」 半田クリニック院長 半田 教(さくら市)
高齢者の方々が一番心配していることは、寝たきりになることだと言われています。そうなる原因は大まかにふたつあります。ひとつは脳血管疾患による半身まひで、もうひとつが腰椎(ようつい)や股関節(こかんせつ)の骨折です。
 今回は、その骨折の主因となる骨粗しょう症について説明します。この病気は骨密度の低下や骨質が変化により骨強度が低下し、簡単な外力で骨折してしまう状態のことです。
 医学的には骨密度が若い人の平均値の70%以下になると、骨粗しょう症と診断されます。60代後半から患者が増え、80代では女性のほぼ半数、男性の2〜3割が骨粗しょう症だともいわれています。そのため股関節の骨折も60歳を境に急増します。腰椎も、70代前半の4人に1人、80代の2人に1人が骨折していると、骨粗しょう症のガイドラインには報告されています。
 この病気の自分でできる予防方法は、日常の適度な運動とカルシウム摂取1日800r以上、あるいは日光浴などです。それでも老化現象なので完全な予防は不可能です。そのため骨折予防の環境整備が重要となります。肉体的には筋力の増強やバランス感覚強化、柔軟性の獲得などがあげられます。身の回りでは、自宅の段差をなくしたり手すりを付けたりするのも効果的です。それでももし、60歳以上の方で、慢性の腰背痛があったり、背中が丸くなったりと感じるかたは、骨密度の測定検査を受けてください。2〜3分の簡単な検査ですぐに結果が分かります。
 またすでに骨粗しょう症にかかっていても、最新の薬剤投与で骨密度だけでなく、骨質まで改善が可能になりました。現在50%以上の骨折リスクの低下が報告されています。治療を受ける価値は十分にあるデータだと思います。
 寝たきりにならないために、いま一度自分の骨に目を向けてみてください。
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第21回 糖尿病網膜症「血糖コントロールと定期的な眼底検査が大切」  早坂眼科医院院長 早坂 依里子(さくら市)
 「糖尿病になると合併症で目が見えなくなる」という話を一度は耳にしたことがあると思います。では、血糖値が高くなる病気で、直接目には関係なさそうなのに、なぜ視力が悪くなるのでしょうか?
目の内側には網膜という光を感じる神経の集まった膜があります。この網膜には無数の細かい血管が張り巡らされていて、血糖値が高い状態が続くと少しずつ毛細血管が傷んだり、血液が流れにくく(どろどろになる)なって、出血を起こしたりします。これが糖尿病網膜症です。糖尿病になって約8年かけてじわじわ発症してくるといわれていますが、糖尿病になった時期は正確にはわからないことが多いため、糖尿病と診断された時点での眼底検査が大切です。
やがて、血の巡りの悪くなった網膜は酸素不足となって水ぶくれを起こしたり(浮腫)、急ごしらえの血管(新生血管)を作ることで栄養を得ようとします。しかし、新生血管は壁がもろく簡単に破れて出血しやすい性質があり、ここから目の内側全体へ出血がおこると、突然視力の低下やかすみ、虫が飛んでいるように見える飛蚊症(ひぶんしょう)などの異常に気づくのです。ここまでくるとレーザー治療や手術が必要になりますが、手術を行っても視力が完全に回復することは困難な場合があります。こまめに眼底検査を受けていると新生血管が生えかけの時期にレーザー治療を行うことで手術を避けられることがあります。
このように糖尿病網膜症は自分で気づきにくく、かなり進行しないと自覚できない点が怖い病気です。「見えているから大丈夫」という自己判断はとても危険です。
糖尿病網膜症の最も重要な予防法は、厳格な血糖コントロールといわれています。ただし、急激に血糖値を下げすぎたり、激しい運動をしたりしてかえって悪化することもあります。そこで、内科と眼科で連携して治療にあたっていくことが大切です。糖尿病と診断されたら、中断・放置することなく定期的に内科と眼科に通院することを心がけましょう。
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第20回 糖尿病(3) 「低血糖に備えよう」 上田医院院長 上田 明彦(矢板市)
 糖尿病の治療は血糖値を下げることが重要です。そのため、血糖値を下げる薬を服用したり、インスリンの注射をしている方は低血糖を起こす可能性がありますので、対処法を心得ておく必要があります。
 低血糖症状には「強い空腹感、脱力感、発汗、手足のふるえ、目のちらつき、顔面蒼白、ふらつき、異常行動、痙攣、意識障害」などがあります。症状は多彩ですが、個人差が大きく、同じ症状を繰り返し起こす事が多いので、低血糖症状を経験した方は、自分の低血糖症状の特徴を知っておく必要があります。また、一度、高度の低血糖を起こすと、その後1〜2か月間は、いきなり意識障害が起こってしまう場合もあります。
低血糖が起きた時、口から飲めるならブドウ糖(5〜10g)または、ブドウ糖を含む飲料水150〜200mlを飲んでください。砂糖ではブドウ糖の倍量(10〜20g)を飲む必要があります。砂糖の消化や吸収を遅らせる血糖降下薬(α-グルコシターゼ阻害薬)を服用中の方は、必ずブドウ糖にしてください。15分後に低血糖症状が続いているなら、再び同じ量を摂取してください。飲めない状態の時は、ブドウ糖や砂糖を口唇や歯肉の間に塗りつけ、もし注射のグルカゴンがあれば、それを使用し、直ちに医療機関に連絡してください。糖尿病の家族の方は、グルカゴン注射の仕方を覚えておきましょう。意識レベルが低下するほどの低血糖をきたした時は、応急処置で一時的に回復しても、体内に低血糖の原因薬剤が残っていて再び低血糖が起こる可能性があります。意識が回復して経口可能となったら、糖分・炭水化物の含まれている食品を摂取してください。運転や高所作業など危険な仕事をされる方は、ブドウ糖を常備し職場の方々の協力も得られるように頼んでおくと安心です。
低血糖を起こす可能性のある方は「私は糖尿病です」と表示した日本糖尿病協会発行の「IDカード」などを身につけ、いざという時に周りの人がすぐわかるようにしておきましょう。
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第19回 糖尿病(2) 「運動療法も取り入れて」 佐藤クリニック院長 佐藤 泉(さくら市)
糖尿病の方にとって食事療法はもちろんですが、運動療法も重要です。運動療法といっても、運動選手がやっているような激しい運動やきつい運動は必要ありません。気軽に行える歩行やサイクリング、柔軟体操など「いつでも、どこでも、一人でも」出来る運動が向いています。
それではどのくらい運動すればよいかというと、体内の脂肪を消費する有酸素運動を目標にします。年齢によって目安とする心拍数があって、40代なら心拍数120、60代でしたら心拍数110程度が一番効率のよい有酸素運動が出来ます。これを超える運動は疲労や筋肉痛の原因になりますので注意が必要です。ただ、運動しても心拍数が上がらない人や、心拍数を下げる血圧の薬を飲んでいる人は例外ですので、一つの目安と考えて下さい。「楽〜ややきつい」と感じ少し汗ばむくらいを目安にして運動するのもよいと思います。出来れば毎日30分以上、あるいは週3時間以上を目標にしてください。一度に運動しなくても例えば10分間の歩行を2回と柔軟体操10分間を組み合わせても結構です。
最近は戦場ヶ原や史跡めぐりなどグループでハイキングする人を見かけますが2時間歩いても400-500カロリーしか消費しません。そのわりに達成感や空腹感から必要以上に食事を取ってしまうことがしばしば見かけます。コンビニのおにぎり2個(400カロリー)+スポーツ飲料(500mlで80−100カロリー)だけで500カロリーも取ってしまいます。「運動したからその分食べてもいいじゃない」とは決して思わないで下さい。消費カロリーという点で運動後の飲食にも十分気を使いましょう。
最後に糖尿病の方で血糖のコントロールが極端に悪い人、眼底出血で治療中の人、腎不全の人、心筋梗塞の既往がある人、足に傷のある人は主治医と相談してから運動を開始してください。
皆さん楽しく気軽に運動をして健康な体を維持しましょう。
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第18回 糖尿病(1) 「糖尿病を知ろう」 岡医院院長 岡 一雄(さくら市)
 糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気です。その原因はさまざまですが、なりやすさ(素因)と生活習慣が大きく影響しています。現在、日本人の10人に1人が糖尿病、または糖尿病予備軍であると推測され、増加傾向にあります。日本人に増えている理由は現代人が食べ過ぎ、運動不足の状態にあるからです。おなかの出た中高年だけがなる病気ではなく、若い人でも一日に何本もの缶コーヒーや甘い炭酸飲料などを摂取していると糖尿病になることがあるのです。これは俗に「ペットボトル症候群」と呼ばれており、2リットルの炭酸飲料のペットボトルなどなかった時代には考えられなかったことです。
糖尿病かどうかは尿検査と血液検査で簡単にわかります。そのため、健康診断などで指摘されたことがある方もいるかもしれません。しかし、軽い糖尿病の場合は症状もほとんどないので多くの方は放っておいても大丈夫だと考えてしまいます。ところが軽い糖尿病でも長い間には体の中の小さな血管を傷つけ、将来心筋梗塞や脳梗塞になる可能性があるのです。そして糖尿病の怖い点は、腎臓が傷害されたり、失明したり、下肢が壊疽を起こすなどの重い合併症が生じることです。今回からこの糖尿病をシリーズで何回か取り上げます。
今回は糖尿病にならないための簡単な養生訓を示しますので参考にしてください。
@食事は腹八分目とし、満腹するまで食べない。Aゆっくりとよく噛んで食べる。B食事の後はすぐに横にならないで少し体を動かす。C甘いものや果物はなるべく午前中に食べ、夕食後に食べない。D普段から体を動かす習慣を身につける。E体重を毎日測って増えないようにする。(体重を減らす)F禁煙する。

ご意見、ご質問、取り上げて欲しい病気などがありましたら、〒329-1312さくら市桜野1319-3 さくら市氏家保健センター内 塩谷郡市医師会「養生のススメ」係りまでお便りをお寄せ下さい。
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第17回 地域医療の危機 「再生のために私たちが出来ることは?」 塩谷郡市医師会長 尾形 直三郎
 皆さん既にご存知のように、昨年末に塩谷総合病院の経営移譲方針が発表され、今年の7月から従来9人いた内科の常勤医はたったひとりになってしまいました。その結果、入院患者や救急患者の受け入れは困難となり、基幹病院としての役割を果たせなくなりました。塩谷郡市医師会は、この事態に対し県や矢板市などの関係機関と連携しながら地域医療の再生に向かって努力していますが、まだ目に見えた成果を挙げられないでいます。
 ここ数年、地域医療は少しずつ荒廃してきましたが、今回の事態はわれわれの塩谷地区の医療に決定的な打撃を与えました。例えば急病で困ったときに誰もが利用する救急車は、塩谷広域管内受け入れ率が数年前の65%から35%まで下がってしまいました。その分、県北や宇都宮地区などの近隣の医療圏の基幹病院や管内の開業医への負担も増し、塩谷地区に限らず県内の救急医療体制に影響を及ぼします。今回の地域医療の荒廃は病院の勤務医不足が根底にありますが、それに輪を掛けて軽症患者の救急車利用、救急医療のコンビニ化が勤務医の労働を過酷にし、その結果医師が病院から去ってしまうという悪循環を起こしているのです。
では、荒廃した地域医療を再生させるためにはどうすればよいでしょう。このままでは塩谷病院そのものがなくなってしまいます。誰かが新しい病院を作ってくれる、なんてことは夢物語です。多額の税金を投入し新しい塩谷病院が診療を開始しても、市民が今までどおりに与えられた医療資源を消費するだけでは、病院からまた医師がいなくなり、経営が破たんします。住民からの理解や感謝、信頼関係の構築なくしては今の医療現場での過酷な勤務は続けられません。我々と共に地域医療を再生するにはどうしたらよいかを考え、病院機能の存続を訴えようではありませんか。
 当医師会では、来る11月1日(土)午後3時〜矢板市文化会館にてシンポジウム「地域医療の再生に向けて」を企画しました。ぜひ、皆様もご参加下さい。
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第16回 脳梗塞後のリハビリ 「もとの生活に戻れるように」 尾形医院院長 尾形新一郎(塩谷町)
脳梗塞は高齢者社会の到来や高血圧症、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の増加に伴い年々増える傾向にあります。その後遺症として手足が麻痺して不自由になったり、認知症が起きたりすることがあるために、医療・介護サービスを必要としている人が激増しています。
脳梗塞後の生活を大きく左右するのがリハビリ(リハビリテーション)です。リハビリは日常生活の自立と、早期の社会復帰を支援することを目的としていますが、その病状を見ながら「急性期」「回復期」「維持期」と進めます。急性期リハビリは病状が安定すればできるだけ早期(入院翌日)から開始します。回復期リハビリは後遺症を少しでも軽減して、可能な限りもとの生活に戻れるように訓練します。この急性期・回復期リハビリは医療的要素が強いため、救急病院やリハビリ専門病院などの医療機関で入院して行います。それに対して維持期リハビリは戻った機能が再び低下しないように行います。これは主に福祉施設、老人保健施設などの入所施設やデイケア、訪問リハビリという形で在宅で行うことになります。脳梗塞の再発を予防するためには危険因子に対する治療や生活習慣を見直すことは言うまでもありませんが、それと同様に日常生活の自立を維持するためのリハビリが重要です。
塩谷郡市医師会では9月28日(日)に塩谷中学校アリーナにて「脳梗塞後遺症とリハビリの啓発」と題して講演会を開催します。内容はリハビリ実施者側の立場から、尾形医院デイケア作業療法士の小川昌宏氏による「在宅でのリハビリテーションの実際」と、体験者側の立場からは元日本テレビアナウンサー小林完吾氏による「死ぬまで元気でいたい〜脳卒中の体験から〜」と題した、自らの二度の脳梗塞から懸命のリハビリによって回復した経験を中心に、実母の介護体験談を交えた講演です。参加費は無料ですので塩谷地区内の多くの皆さんのご来場をお待ちしております。
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第15回 かかりつけ医との付き合い方「何でも相談できる良い関係に」  後藤医院院長 後藤 哲郎(矢板市)
日ごろからちょっとした病気のときに、決まって診てもらっているお医者さんはありますか。昔からわが国には「かかりつけ医」という呼び方があります。
かかりつけ医とは今かかっている病気だけではなく、これまでのあなたの健康状態や家族の健康状態など、みんなの健康に関することを把握していて、あなたや家族を見守ってくれるお医者さんのことです。風邪などの簡単な病気だけを診てもらうのがかかりつけ医ではありません。日常的によくある病気やケガだけではなく、健康に関することは幅広く何でも相談できる医師がかかりつけ医です。
かかりつけ医は、あなたや家族親せきの方が大きな病気になって手術が必要な時や、健康診断で異常を指摘されたがどうしたら良いのか分からない時、体調が悪いがどの病院のどの診療科に行けば良いのかわからない時、あるいは老人介護の問題などを、親身になって相談に乗り、適切なアドバイスをしてくれます。
かかりつけ医がさらに詳しい検査や、専門医の診察が必要だと判断した場合には、診断治療に必要なデータや今までの病歴、治療経過などの診療情報を「紹介状」に記入して専門病院に紹介してくれます。緊急を要する場合には直接病院と連絡をとって、治療をお願いすることもあります。かかりつけ医で紹介状をもらうことによって、病院での待ち時間の短縮や検査の二度手間も省け、診療がスムーズに進みます。これは大病院に上手にかかるコツともいえるでしょう。
 かかりつけ医は必ずしも開業医のドクターとは限りません。かかりつけ医を持つために契約書なども必要ありません。お互いに良い信頼関係が作れるのなら何科の医師でも良いし、診療所でも病院の先生でも良いでしょう。皆さんにとって、近くに何でも相談できる医師がいることはとても良いことです。長くお付き合いをして、かかりつけのお医者さんと、かかりつけの患者さんの良い関係をお互いに協力して作っていきましょう。
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第14回 救急外来とコンビニ受診 「救急医療崩壊を食い止めるために」 黒須病院外科  民上英俊(さくら市)
 「コンビニ受診」という言葉をご存じでしょうか。緊急性のない軽症の方が休日や夜間の時間帯に救急外来を受診されることを言います。例えば「1週間前から風邪をひいているのですが」「会社を休めないから血圧の薬を今出してください」などと受診されます。テレビのバラエティー番組でもタレントが「コンビニ受診なんて医者は言うけど昼間受診できない人だっているんだよ。夜、病院にかかれないのは医者の怠慢だ」と発言しています。では、なぜ病院は十分に24時間の対応ができていないのでしょうか。これまで厚生省(現厚生労働省)は医療費を抑制する方針で医師、看護師などの医療従事者の充足を行ってきませんでした。もし、24時間いつでも昼間と同じ医療を提供するのであれば、現在の3倍以上の医療従事者の増員が必要となります。さらに訴訟の増加に伴い、生死にかかわる救急医療を目指す医師が減少傾向となり、ますます救急外来は人手不足なのです。
 救急外来は本来生命の危機や緊急入院を要すると思われる重症患者さんを診る施設であり、夜間診療所ではありません。病院を利用する方はそのことを理解し、ある程度の我慢をしてもらわなければ、すでに始まっている救急医療崩壊を食い止めることは困難です。
 その我慢とは@日ごろからかかりつけ医を持ち、通常の診療時間内に受診してください。昼間であれば各種専門医への相談・連携、高度な医療器械の使用などが容易に行えます。A痛み止め、風邪薬、熱さましなどの常備薬を持ち、夜間はまず内服してからご相談ください。B全国統計で最近10年間の救急車出動件数が55%増えており、救急車がすぐに現場に到着できない状況になっています。実際、救急車で搬送された方の半分は入院の必要のない(救急車の必要でない)方でした。救急車をタクシー代わりに使うのはやめてください。このままでは本当に必要な方の生命が脅かされることになります。
 私たち、地域の病院はこれからも「安心の提供」を続けるために救急医療システムの改革など努力を惜しみません。地域の救急医療を維持するため皆さまにも「不便(コンビニエンスでない)という我慢」をご理解、ご協力お願いします。
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第13回 救急医療の機能分化  「救急医療の区分けをご存知ですか」 塩谷郡市医師会副会長 阿久津博美(高根沢町)
 ミシュランのレストランガイドが発刊と同時に売り切れたことはご記憶の方が多いと思います。私も購入した一人ですが、お店の雰囲気や器、接客態度、食材、もちろん味も超一流でしょう。しかし、一生のうちで口にすることがあるかどうか、はなはだ疑問であります。
 救急医療においても一次、二次、三次と区分けがなされていることをご存知でしょうか。一次救急は診療後に帰宅可能な軽症例、二次救急は入院加療が必要な場合、三次救急は生死の境にある危険な状態です。それぞれ対応する医療機関の設備、人員配置などに大きな差があります。三次救急医療機関には緊急検査(CT、エコーなど)、カテーテル室、緊急手術室、集中治療室が常にスタンバイであることが要求されます。そのため、多くの設備とスタッフが必要です。それでも重症の救命処置では3~4時間かかりっきりとなり、次の救急車に対応できず断らざるを得ないケースも生じるのです。
 三ツ星レストランと三次救急医療機関の決定的な違いは次の点です。三ツ星レストランは予約制であり料理に見合った高額な料金設定になっていますが、希望すれば誰でも食べることができます。一方、救急車は電話一本で、無料で駆けつけてくれますが、救急隊や医師が必要性を判断して病院への救急搬送や受け入れを行います。救急医療は救急担当者の選別(トリアージ)により、受診者の自由や要望を時には制限する必要があるのです。この原則が崩れると、コーヒーとデザートだけのお客さんが店を占拠しフルコースを注文するお客さんが入れなくなるように、本当に必要としている人が救急医療を受けられなくなってしまいます。
日本の医療制度は誰でもどこでも、しかも安価に医療を受けられる優れた制度です。しかしその便利さが、いわゆる「コンビニ医療」と評される時間外診療を助長してしまいました。住民の共有財産として大切に利用する気持ちが救急医療の崩壊を防ぐことにつながると思っております。
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第12回 AED(自動体外式除細動器)の話  「大切な命を救うためにできること」 仲嶋医院院長 仲嶋 秀文(さくら市)
 最近、AEDと書かれた赤いハートマークを見かけたことはありませんか?AEDとは、自動対外式除細動器の英略で、音声メッセージに従って操作すれば、専門的な知識を持たなくても心停止した人に電気ショックを与えて救命することができる機器のことです。
例えばスポーツ活動中は、突然の心停止など予測できない事故が発生することがあります。その心停止の中で特に多いのが心室細動(心臓のけいれん)です。心室細動が発生した場合は、できるだけ早く心肺蘇生処置と除細動(電気ショックで心臓のけいれんを止めること)を行うことが救命の鍵となります。除細動が1分遅れると約10%の割合で救命率が低下してしまいます。また、119番通報してから救急隊が現場に到着するまでには時間がかかりますので、現場に居合わせた一般市民が迅速に一次蘇生処置やAEDによる除細動をおこなうことが、救命率を上げることにつながるのです。こうしたことから、2004年より、医師や救急救命士だけでなく、一般市民もAEDを使用できるようになりました。
現在、AEDは、公共施設や公共交通機関、スポーツ会場などを中心に広く配置されています。2005年の愛知万博では会場に設置されたAEDによって、心停止患者4人が救命されました。最近でも野球の競技中に胸への打撃をきっかけに起きた心停止(心臓しんとう)や、マラソン大会中に発生した心停止に対して使用され、大切な命が救われています。
突然の心停止を起こした方の命を救うために私たちにできることがあります。それは「救命の連鎖」と呼ばれる4つの行動で、迅速な119番通報、迅速な一次心肺蘇生処置、迅速な除細動、高次医療機関への救命搬送をいいます。皆さん、もしそんな現場に遭遇したら迷わずAEDを使ってください。それがあなたの周りで突然心停止を起した方を救命することにつながるのです。なお、AEDの使用法や心肺蘇生法の講習会は各地で開催されていますので機会があったら受けましょう。
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第11回 胆石症 「肥満解消と食事が予防の決め手」 黒須病院副院長 手塚幹雄(さくら市)
 胆石症は、人間ドックでの発見率が約5%と案外多い病気で、近年増加傾向にあります。胆石の種類にはコレステロール胆石と色素胆石がありますが、戦前は色素胆石が圧倒的に多かったのですが、戦後はコレステロール胆石のほうが多くなっています。これは、食事の欧米化によって脂肪摂取量が増加したことが原因と考えられます。ちなみに、脂肪摂取量が多いアメリカ人は65歳以上の20%が胆石を持っているといわれています。
典型的な胆石の症状は、油物を食べた後30分位でみぞおちや右わき腹に起きる疝痛(激痛)発作ですが、痛みはすぐに消えてしまいます。時に熱が出たり、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)が出ることもありますが、中には胆石があっても症状の無い人(無症候性胆石)もいます。
治療は、症状や胆嚢炎などの合併症がある場合には胆石を含めた胆嚢摘出手術が第一選択となります。最近では開腹せずに腹腔鏡下に胆嚢を摘出する手術が一般的です。無症候性胆石は積極的に治療する必要はありません。手術以外の治療法として、溶解剤を用いて胆石を溶かす方法がありますが、実際に溶かせる人は10%にすぎません。
予防で一番重要なことは、まず肥満を解消することです。食事のとり方にも注意が必要で、暴飲暴食や脂肪分の多い食事、刺激の強い香辛料やアルコール・コーヒーなどの嗜好品を避けてください。無症状の胆石の人や発作がしばらく起こってない人は、とかく病気のことを忘れがちです。気づかないうちに胆石が大きくなっていたり、数が増えていることもありますので、症状がなくても定期的に検査を受けるようにしてください。
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第10回 ピロリ菌の話  「除菌治療で胃潰瘍の再発を防ぐ」  山田クリニック院長  山田 聰(矢板市)
皆さんご存知のように、胃は食べ物を消化する働きをしており、強酸性の胃酸があふれています。そのため、胃の中には細菌はとうてい住めないと思われていました。ところが、尿素を分解してアルカリ性のアンモニアを作り、自分の周りに中性の緩衝域を作りだすことができる細菌が胃の中で発見されました。これが有名なピロリ菌です。さらにピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍の原因になっていることもわかりました。最近の研究ではピロリ菌がいると胃がんもできやすいこともわかってきました。
では、胃の病気の原因となっているピロリ菌はもともと人間の胃の中に住んでいるのでしょうか。実は、ピロリ菌は5歳くらいまでに飲み水や食べ物から感染するのです。昔の便所や感染された井戸水が感染源とされており、感染した親が口移しで離乳食を与えることも原因となるようです。ですから、水道水を飲み、水洗トイレを使う現代人には感染者が少なくなってきています。ちなみに日本人の二人にひとりは感染者で、40歳以上に限るとおよそ7割の人はすでに胃の中にピロリ菌が住んでいると考えられています。そういう意味でピロリ菌はありふれた細菌ですので、胃に対して悪さをしてなければ放っておいていいでしょう。しかし、胃潰瘍などの病気のある人はピロリ菌を除菌すれば、胃潰瘍の再発を防ぐことができます。除菌治療は数種類の抗生物質や胃の薬を1週間飲むだけです。この除菌法の進歩により胃潰瘍の治療は飛躍的に進歩しました。今後は、胃がんの予防のためにも除菌治療が期待されています。
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第9回 たばこを吸う理由  「わかっちゃいるけどやめられない?」  森島医院院長  森島 真(さくら市)
 公共施設の禁煙、JRやタクシーの禁煙など、喫煙する人にとって年々厳しくなるたばこ規制は腹立たしい限りでしょう。税収に貢献しているし、違法なものを吸っているわけでもないのに何が悪いのかと言いたいですよね。でも、大人は誰でも好きな時にたばこを買って、自分の家や喫煙所では自由に吸えるのですから、きちんとマナーを守る人ならば腹は立たないはずです。
では、なぜ、たばこ規制に腹が立つのでしょうか。これには、たばこの煙に含まれるニコチンが大きく関わっています。喫煙すると、ニコチンは一瞬にして脳に運ばれ、一時的にストレスが解消されます。ただし、分解されるのも速いため、30分もすると、今度はニコチン不足になってイライラします。このストレスを解消するために喫煙を繰り返し、喫煙できない場所に入ろうものなら喫煙場所を求めて右往左往し、挙句は、たばこの規制に八つ当たりするようになります。
たばこの箱をよくご覧下さい。そこには「喫煙によって肺がんや心筋梗塞、脳卒中などになりやすくなる」という警告表示が必ず書かれています。また、今年の7月に公表された厚生労働省研究班の調査結果によると、たばこを吸っている40歳男性の平均余命は38.6年で、吸わない男性より3.5年も短いそうです。つまり、40歳の時点で喫煙している男性は、喫煙しない男性に比べて寿命が約5%も短くなるということを、国が把握しているということです。とても無責任な話ですが、それでもたばこが売られているのは、税収の安定とたばこ産業の健全な発展のために定められた「たばこ事業法」があるからです。
 医者の立場から言えば、喫煙は、自らストレスの原因を作り、なおかつ健康を害して寿命を縮める行為です。好きで吸うならともかく、やめたいと思っているのにやめられないのなら、一度禁煙外来の受診をお勧めします。
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第8回 「タバコ病を知っていますか?」 肺の病気(COPD)   塩谷総合病院呼吸器科 眞塩 一樹(矢板市) 
塩谷郡市医師会リレーコラム 養生のススメ(平成20年2月)


 公共施設の禁煙、JRやタクシーの禁煙など、喫煙する人にとって年々厳しくなるたばこ規制は腹立たしい限りでしょう。税収に貢献しているし、違法なものを吸っているわけでもないのに何が悪いのかと言いたいですよね。でも、大人は誰でも好きな時にたばこを買って、自分の家や喫煙所では自由に吸えるのですから、きちんとマナーを守る人ならば腹は立たないはずです。
では、なぜ、たばこ規制に腹が立つのでしょうか。これには、たばこの煙に含まれるニコチンが大きく関わっています。喫煙すると、ニコチンは一瞬にして脳に運ばれ、一時的にストレスが解消されます。ただし、分解されるのも速いため、30分もすると、今度はニコチン不足になってイライラします。このストレスを解消するために喫煙を繰り返し、喫煙できない場所に入ろうものなら喫煙場所を求めて右往左往し、挙句は、たばこの規制に八つ当たりするようになります。
たばこの箱をよくご覧下さい。そこには「喫煙によって肺がんや心筋梗塞、脳卒中などになりやすくなる」という警告表示が必ず書かれています。また、今年の7月に公表された厚生労働省研究班の調査結果によると、たばこを吸っている40歳男性の平均余命は38.6年で、吸わない男性より3.5年も短いそうです。つまり、40歳の時点で喫煙している男性は、喫煙しない男性に比べて寿命が約5%も短くなるということを、国が把握しているということです。とても無責任な話ですが、それでもたばこが売られているのは、税収の安定とたばこ産業の健全な発展のために定められた「たばこ事業法」があるからです。
 医者の立場から言えば、喫煙は、自らストレスの原因を作り、なおかつ健康を害して寿命を縮める行為です。好きで吸うならともかく、やめたいと思っているのにやめられないのなら、一度禁煙外来の受診をお勧めします。
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第7回 肺の病気(喘息) 「発作のない快適な生活を」 塩谷総合病院副院長 阿久津 郁夫(矢板市)  
 私は最初、循環器科の医者になろうと考えていました。それが、国家試験が終わったある日、呼吸器内科の先輩医師が救急外来で喘息の患者さんを治療するのを見て考えが変わりました。その患者さんは喘息発作でゼーゼーして今にも息が止まりそうでしたが、先輩医師が点滴と酸素吸入を始めると瞬く間に症状が良くなりました。それはまるで魔法か奇跡を見ているようでした。
喘息は20世紀初頭まで、気管支がただ収縮することで起こると考えられていました。それが1960年代から「慢性の気道炎症」がもともとの原因であるとわかってきました。喘息は高血圧や糖尿病と同じ慢性の病気で、それが急に悪くなったのが喘息発作なのです。“ぜーぜーする”発作を治療するだけではなく、発作のない時でも慢性に存在する気道の炎症をコントロールすることが重要となります。 
近年ハウスダスト・ダニなどのアレルゲンの増加に加え、ペットの飼育、大気汚染、食品添加物、肥満、ストレス、タバコなどの喘息に好ましくない環境が、喘息の患者さんの数を増やしています。一方、喘息による死亡は、1995年には日本で約7200人いましたが、2006年には約2700人と、年々減少傾向にあります。以前は当直時の救急患者さんの半数は喘息発作でしたが、今では一人も来ない日があるくらいです。
患者数は増えたのに、発作を起こす頻度が激減した最大の理由は、“吸入ステロイド”という吸入薬の普及です。毎日自宅で吸入することで、気道の炎症がとれ、気道の敏感さ(収縮しやすさ)が抑えられますので、発作が起こりにくくなります。薬による副作用もほとんどなく、たとえ患者さんが妊娠しても使えます。気管支を拡張するような薬などを併用するとより効果的です。 
掃除でアレルゲンを除去したり、風邪をひかないように注意して、たとえ“気管支喘息”と診断されても、発作のない快適な生活を送っていただきたいと思います。
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第6回 肺の病気(高齢者の肺炎)  「予防接種で肺炎を防ごう」黒須病院 呼吸器内科 菊池 和博(さくら市)  
2005年の厚生統計によると肺炎の死亡率は人口10万に対して75.3人で死亡順位は第4位です。その順位は年齢とともに上がり、85歳以上の男性では死因第2位、90歳以上の男性ではなんと死因第1位となります。
実は黒須病院に発熱で入院される患者さんもその多くは肺炎をはじめとした呼吸器感染症です。肺炎は大変身近な病気ですが、高齢になると重症化しやすく迅速な診断と適切な抗生物質による治療が大切です。
肺炎は風邪のような症状の後に発熱や咳、痰などの呼吸器症状が出てくることが一般的です。ところが、高齢者では「食欲がない」という訴えだけで医療機関を受診し、胸部X線写真ではじめて肺炎とわかる場合もあります。肺炎の原因となる病原微生物は細菌やウイルス、真菌(カビ)などがありますが、一番多いのは肺炎球菌という細菌で全体の約25%を占めています。
この肺炎球菌による肺炎はワクチン接種によって予防がある程度可能になってきました。肺炎球菌ワクチンは1回の接種で約5年近く有効といわれており、特に肺炎が命取りになりやすい高齢者ではその効果が期待されます。予防接種は自費ですが5年間有効であることを考えると高齢者、中でも糖尿病や呼吸器などの病気を持っている方は受けておいたほうがよいでしょう。
また、高齢者はインフルエンザにかかった時に肺炎になって重症化することが多いので、インフルエンザウイルスに対する予防接種も重要です。
ただし、インフルエンザの予防接種の効果は数ヶ月ですので毎年受ける必要があります。
インフルエンザの予防接種は65歳以上の方は市町による公費補助がありますので、ぜひかかりつけの医療機関で接種してください。
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第5回 地域医療の現状 塩谷郡市医師会長・尾形クリニック院長 尾形 直三郎 (矢板市)  
最近の話ですが、お年寄りが転倒して起き上がることも出来ないと救急隊に出動要請がありました。骨折が疑われたため、収容先の病院を探しましたが、塩谷地区や近隣の基幹病院では「専門医がいない」、「ベッドが満床」と断られ、結局遠くの大学病院まで搬送したそうです。このように、現在の地域の救急医療の現場は予想以上に厳しい状況で、重症患者を対象にする三次救急は別にして、数年前だったら地域の基幹病院で受け入れることが出来た脳卒中や骨折などの身近な一次、二次救急が、収容出来なくなっています。
この最大の原因は基幹病院の医師不足にあります。基幹病院では勤務医の3分の1が病院を離れ、残った医師は疲弊し救急病院としての体制が取れなくなっています。特に脳外科や整形外科、小児科は勤務医が減少し、欠員になる科も生じてしまい救急医療や入院診療に対応できない状況です。
そんな中、塩谷郡市医師会では、基幹病院の勤務医の負担を少しでも減らそうと、地域の医療機関と連携し、小児科医も含む医師会員の協力を得て昨年4月から休日夜間こども診療室(日曜祭日の午後6時半〜9時半まで)を塩谷総合病院と黒須病院にオープンしました。その存在がまだ充分に知れわたっていないのか、平均患者数は各々1日5〜6名というところです。もう少し地域の方々に利用していただきたいと思います。
現在の医師不足に代表される地域医療の荒廃は簡単には改善されそうもありません。「安心して暮らせる地域」にするには、ないものねだりでは解決しません。地域の救急医療の現状を真摯に受け止め、市民、行政、医療関係者が積極的に発言・行動して、身近な問題から解決して行く必要があるのではないでしょうか。
塩谷郡市医師会では下記の日程でシンポジウムを開催します。地域のみんなで救急医療について考えたいと思います。
ぜひご参加ください。 

塩谷郡市医師会シンポジウム  
◎「大切な命を救うために−救急医療の現状を考える−」
●11月17日(土)午後5時〜7時
●矢板市文化会館小ホール
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第4回 メタボリックシンドローム  「笑って減らそう、内臓脂肪」 阿久津医院院長 阿久津 博美 (高根沢町) 
健康診断の項目に「腹囲測定」が新たに加わることになりました。
これまで肥満は身長と体重から求めたBMI(体重/身長2)の数字で判断しておりましたが、筋骨隆々な逆三角形でも、中年太りでお腹が出ていても、身長と体重が同じならBMIは同じになってしまいます。腹囲は内臓脂肪の量とよく相関し、内臓脂肪1kgは腹囲1cmに相当します。そのため、腹囲を測定することで内臓脂肪の多さがわかるのです。しかも腹囲はメジャーがあれば簡単に測れます。男性で85cm、女性で90cm以上は注意が必要です。
 身体に蓄えられる脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があります。どちらも栄養を貯蔵するシステムですが、内臓脂肪からは血圧や血糖、コレステロールなどを上げる作用を持つホルモンのような物質が分泌されます。そのため内臓脂肪が増えると高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病になる危険性が高くなり、動脈硬化が進みます。その結果、脳梗塞や心筋梗塞などは30倍も起こしやすくなるのです。これが内臓脂肪によって引き起こされるメタボリックシンドロームの本態です。
では、内臓脂肪を貯めないようにするにはどうすればよいでしょう。食事は腹八分目とし、特に夜遅い時間にたくさん食べないようにしましょう。それとともに毎日運動することが大切です。わかっているけど実行はつらいとお考えの方には、「笑う健康法」をお勧めします。笑うことは全身運動です。
今回ご案内します塩谷郡市医師会の生活習慣病予防講座で思いっきり笑って、内臓脂肪を減らしてください。
 では、内臓脂肪を貯めないようにするにはどうすればよいでしょう。食事は腹八分目とし、特に夜遅い時間にたくさん食べないようにしましょう。それとともに毎日運動することが大切です。わかっているけど実行はつらいとお考えの方には、「笑う健康法」をお勧めします。笑うことは全身運動です。

塩谷郡市医師会第3回生活習慣病予防講座のご案内
 ■日 時:平成19年9月30日(日)午後1時〜3時
 ■場 所:高根沢町民ホール(高根沢町石末1825)
 ■講 師:医学博士・落語家 立川らく朝 先生
 ■演 題:実技「生活習慣病予防に役立つ運動療法」
      講話「笑いながら学ぶ生活習慣病−メタボと脳卒中予防−」
      ―参加費は無料。どなたでも参加できます―

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第3回 高血圧症のこと  「本当は怖い、高血圧」  にいたに内科院長 二井谷 誠司 (高根沢町)  
 開業医だった私の祖父は、その日の夕方まで元気に診療していましたが「頭が痛いから今日は早く寝る」の言葉を最後に帰らぬ人になりました。日頃から血圧が高かったのですが、50年も前で有効な高血圧の薬はあまりなく、高血圧が長い期間続いたために脳内出血に襲われたようです。
 『高血圧症』は収縮期(上の)血圧が150くらいでも肩こり、頭痛、めまいなどを自覚する人もいますが、200以上になっても何の症状も出ない場合もあります。「私は、血圧が高くても大丈夫な体質だ」と勘違いする人もいますが、これは大変危険なことで、症状が出た時はすでに重篤な状態−脳内出血の時の頭痛、脳梗塞の手足の麻痺、狭心症や心筋梗塞、解離性大動脈瘤で起きる胸痛、閉塞性動脈硬化症の足の痛みなど−になっているのです。
 これらの病気は、起こる場所も違い、無関係にも見えますが、血管が高い圧力にさらされて傷んだ結果、中がつまったり、壁が裂けたりして起こる病気で、『高血圧症』のなれのはてなのです。
 また、もうひとつ多い勘違いに「血圧の薬を飲み始めたら一生止められないから、飲みたくない」というのがあります。『高血圧症』の薬は睡眠薬のような習慣性(飲まずにいられなくなる)はなく、本人の血圧が自然に下がれば、減らしたり止めたりすることもあります。それに、昔とちがい今では血圧の薬には色々な種類があり、本人に合った薬を選択すれば安全に治療できます。                        
 血圧が高い期間が長くなればなるほど、血管が傷んでいきます。大事に至らぬよう、高血圧は早めに治療を開始しましょう。
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第2回 高血圧症のこと  「塩分ひかえめ7グラム」  戸村医院院長 戸村 光宏 (塩谷町) 
 昔、うめぼしはとても酸っぱかったですね。それに塩分もたっぷり。梅の20%以上の塩を使っていました。ということは一粒15グラム位の梅干だと、3グラムの塩分があったということですね。
 昔の日本人は塩辛いものを食べ過ぎてました。子供の頃食べていた漬け物のショッパカッタこと。大根の味噌漬けなんかこげ茶色で、口の中がしびれるようでした。漬け物ばかりではなく、他のおかずも塩辛かったですね。シオビキとか。
 昔はだいたい20グラムくらいの塩分を摂っていたようです。今は、だいたい12グラムくらいに減っています。日本高血圧学会では「高血圧の人は一日7グラムにしよう」といってます。
 あと、5グラムですね。どうやって減らしましょう。
 ラーメンの塩分が4グラムであると、厚労省のホームページに載っていました。でも、これはスープ込みの塩分ですから、スープを残せばそれだけ塩分を控えたことになります。
 料理をするときに、酢やレモンなどの酸っぱい調味料を加えると塩分を少なくできます。
 「トウガラシやコショウは辛いので血圧に悪い」と思っている方もおられるようですが、大丈夫です。塩分を少なくするかわりに使えます。こんなことをこまめにしていると減らせます。
 塩分を減らすと血圧が下がってきます。このような高血圧症を「食塩感受性」高血圧ともいいます。
 塩分を減らしても血圧が下がらない「食塩感受性」ではない高血圧症もありますが、それでも塩分は制限しないといけません。なぜなら、塩は腎臓に負担をかけるからです。「食塩感受性」ではなくても、血圧が高いと腎臓の細かい血管に負担をかけ、そうなるとやはり塩分を減らさないといけなくなるのです。
 うす味になれると、食材のおいしさが良くわかり、高血圧症も防げる、一石二鳥です。いや、五鳥はあるかな。
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第1回 一家に一台血圧計   岡医院院長 岡 一雄 (さくら市)     
 30歳以上の方は血圧を測りましょう。血圧は測ってみて初めて高いかどうかがわかります。一般に最高(収縮期)血圧が140mmHg以上、最低(拡張期)血圧が90mmHg以上を高血圧といいますが、緊張したりイライラしたりすると血圧はすぐに変動します。そのため、診療所や健康診断で一度測定しただけでは高血圧の診断はつけられません。家庭で血圧を測定することが重要です。出来れば一日2回、朝起きてから一時間以内(朝食前)と夜9時頃(入浴前)に測定しましょう。また、測るたびに血圧の値が変わる方は2―3回連続して測定すると安定します。
今回は「高血圧にならないための工夫」を6つ挙げておきます。
皆さんはいくつ気をつけていますか?

 ☆高血圧にならないための工夫☆
  1. 普段、血圧を測る習慣を持つ:一家に一台血圧計。
  2. 塩分控えめ:1日6g以内が目標。
  3. ストレスを貯めない:充分な休養とリフレッシュを。
  4. 適度な運動:ウォ−キングなら毎日30分が目安。
  5. 太らない(太っている人は減量):毎日体重を測ってみよう。
  6. 禁煙と節酒:タバコは百害あって一利なし。お酒はほどほどに。

 いつの時代も丈夫で長生きするための第一歩はまず病気にならないことです。その病気にならない方法やコツを塩谷郡市医師会のメンバーがリレー形式で月1回解説します。

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